仕事

タクシー車内で大合唱!? 運転手が見た、“ニッポンを謳歌する”外国人観光客たちのリアルな姿

合羽橋で買った和包丁を出して…

外国人観光客

※画像はイメージです

 浅草に外国人観光客を送り終えると、すぐにアプリの配車依頼が飛び込んできた。迎車地は道具街の合羽橋から。東洋系の一家4人が待っていた。目的地は六本木ヒルズの超高級ホテルだった。  家族の会話は中国語のようで、お父さんのみ、時折筆者に英語で何か話しかけてくる。総合すると、すでに5日ほど六本木に滞在し、今日は和包丁を買いに来たらしい。そういえば、コロナ禍明けの合羽橋の外国人比率はとても高く、とくに包丁専門店は常に大入りになっている。  このお父さん、上機嫌でニコニコしていた。ただ、よほど嬉しかったのだろう。包丁を箱から出して眺めていたのにはビックリした。お願いだから、ここでそんなものを出さないで!

暖房はお嫌いですか?

 お客さんに車内で快適に過ごしてもらうため、タクシードライバーは換気や温度調整に気を使う。ジャパンタクシーなら、寒い早朝には後部座席のシートヒーターをあらかじめ入れておくことがある。日本人のお客さんなら、それで何か苦情を言われることはない。温度について要望を聞いても、だいたい「大丈夫です」のひと言で終わる。  一方の外国人旅行者は、結構自己主張が強い。しかも、なぜか昨年から今年にかけて出会った外国人旅行者たちの服装は軽装が多く、日本人がダウンを着ている中、半袖Tシャツ姿で街を闊歩している場面によく遭遇した。  そんな彼らを車に乗せると、「シートヒーターを切ってくれ」「温度を下げてくれ」「窓を開けていいか」などの要望がよく出る。細かな要望がある時は、スマホの翻訳機能を使って画面を見せられることもあった。このような自己主張は、さすが外国人。もちろん、全然嫌味がないので、こちらも気持ちよく「Yes, sir」なのであった。
次のページ
早朝の銀座でも楽しみを見つける
1
2
3
4
フリーライター。定時制で東京を走り回っている現役の中年タクシードライバー

記事一覧へ
おすすめ記事