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元セクシー女優は“普通の仕事”に転職できるのか。転職エージェントで受けた屈辱の日々――大反響・傑作選

転職エージェントにダメ押しされて撃沈

たかなし亜妖さん

たかなし亜妖によると、元セクシー女優が転職活動をする際は、過去の経歴を隠して面接に臨む人が多いようだ

 執筆と言えどシナリオ作成に興味を持ったので、しばらくの間は私塾のシナリオスクールに通った。教えてもらったのは企画・構成の作り方、脚本の書き方など基本的な内容だったが、イチから基礎を教えてもらえるのは有難い。スクールで学んだことは今でも私の基盤となっている。  先生に「斬新で程よく頭がおかしいモノを作るね」と、褒められているのか、けなされているのか分からないお言葉をいただいたが、発想力には少し自信を持てた。  その勢いでシナリオライターを志し、転職エージェントに登録。ソーシャルゲームのライターは未経験でも入れる会社が多いとのことだったが、面接時、担当者に一発食らわされることに……。 「ご紹介できる会社は限られますね。過去の職歴がアパレルと、空白の期間が長すぎるのはちょっと。シナリオスクールに通っていると言えど、実績もありませんし」  スペックがオワコンなのに加え、マズイ要素が複数揃うことに担当者は顔をしかめていた。  知り合いの元セクシー女優たちも転職する際は経歴を隠す人が多く、私もセクシー女優をしていた話など口が裂けてもできなかった。ただ、その期間を無職のテイにしたのが完全に逆効果だったのだ。20代前半にしてニート歴が長いなんて、野生のナマケモノのような存在にしか見えないだろう。  一応未経験でも応募が可能な会社を紹介してくれたが、「難しいと思いますよ」とまさかの念押し。ただでさえ重い気分に追い打ちをかけられ、もうちょっと優しくしてくれたっていいだろ! と思ったのは忘れもしない。

元セクシー女優で現ニート、現実の厳しさを知る

 アダルト業界は女性に優しすぎるくらい優しい。女優は完全にお姫様扱いで、男尊女卑ならぬ“女尊男卑”レベルの世界である。何をしても怒られることがまずないため、私はストレスの多い環境がすっかり苦手になっていた。  担当者のダメ押しはあったものの、幸いにも書類は通過したので、ニートになってから初の面接に臨んだ。  結果はもちろん、撃沈。  30分と大幅な遅刻をかましてきた面接官5人に囲まれて、 「無職の期間長すぎませんか?」「元アパレルでよく目指そうと思いましたね」「シナリオスクール……あぁ~私塾なんですね。フッ……(暗黒微笑)」  拷問級の時間を長々と強いられて(確か1時間半くらい)、最後はあっさり落とされた。明らかに対応の悪い会社を紹介したエージェントに不信感が募ったし、何より門前払いを喰らった事実が悲しかった。  けれども、仮に私が企業側の人間だったら、面接にやってきた自分をどう思うだろう。謎の職歴、ニート、実務経験なし。そんな志望者を採用できるだろうか?  身一つさえあれば学歴も資格もスキルも問われない世界に、私はもういない。現実の厳しさだけでなく、置かれた環境そのものが変わっていることを、この出来事で激しく痛感させられたのだ。  ストレス耐性がなかったので、この一件で簡単にグレそうになる。しかし、腐っても職は見つからないし無職の事実は変わらない。そんな時、自分で見つけた求人が今後の運命を変えることになるとは……。当時の私には想像もつかないことだっただろう。 【元セクシー女優の昼職転職記】⇒全12回の一覧はこちら! 文/たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya
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