仕事

“外部から招聘された役員”が“和気あいあいとした会社”をぶち壊し…「社員同士で暴力沙汰も起きた」

行き過ぎた成果主義でトラブルが続出

 次第に異常をきたすものが現れたという。 「体調不良を訴えるメンバーが出るようになりました。やはり、成果がなかなか出ないメンバーが多かったのですが、一方で徐々に成果が出ているメンバーも休みがちになっていき……。自分は良くも悪くもない成績でしたが、それでも出勤するのに気力がいるようになって、体調不良を理由に休むことが多くなりましたね」  それまでにはなかった問題も発生するようになった。 「みんな成果を出すことに追われるようになって、トラブルも増えていきました。例えば、お客さんからの注文書を入れるボックスがあるんですが、その中から書類が紛失したり、商談が進んでいた顧客がいたのに、他の営業メンバーに勝手に商談されて成果を横取りされたりということも起きるようになりました。社員同士で喧嘩になる例も増えていき、成果を横取りされた社員による暴力沙汰も起きたりして、部内の雰囲気はかなり悪くなりましたね」

2年も経たずに解任されることに

 痛みを伴う改革だったわけだが、結果としてはどうだったのか? 「本当に成果を出せるメンバーにとっては良い環境だったのかもしれませんが、多くの人間にとっては劣悪な環境になっただけでした。伸びたのは一部だけで、多くの社員は成果を落とす結果になりました。退職する社員も増えることになりましたが、新しく入ったメンバーも長続きしないので、第一線で稼働できるメンバーの数も減った形でした。結果として、全体としては大きく成果が下がりました。それで改革を行なった役員も2年も経たずに解任されることになったんです」  会社には合わない方針だったとして、元の環境に戻すことになったそうだが、もう昔のような一体感は無くなっていた。三塚さんも会社を去ることにしたという。 <TEXT/和泉太郎>
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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