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「ドラッグストア業界1位と2位の統合」で超大型チェーンが誕生。浮上する商売敵の“意外な正体”とは――ニュース傑作選

「ウエルシアとの統合」を目指すツルハドラッグ

 ツルハホールディングスは売上高でウエルシアに次ぐ2位の規模です。「ツルハドラッグ」や「くすりの福太郎」など全社で2,653店舗を展開しています。1929年に北海道の旭川で開業した薬局をルーツとし、北海道を起点に全国へと出店しました。そのため23年度末における地域別店舗数は北海道432・東北604であるのに対し、関東甲信越は533、中部・関西は269と少なめです。  近年でも新規出店を継続し、2020年5月期から24年5月期にかけて事業規模は次のように拡大しました。特に21年5月期は九州・沖縄で展開する「ドラッグイレブン」を子会社化し、同地域で202店舗を取得しました。しかし、地方に店舗数が多いため不採算店も多く、ツルハHD全体で年間50~70店舗を閉鎖し続けています。 売上高:8,410億円→1兆275億円 営業利益:450億円→492億円 全社店舗数:2,150店→2,653店  ちなみにツルハとウエルシアの両者は2027年までに経営統合する方針です。すでに両者とイオンを含めた3社間で合意しています。ツルハの傘下にウエルシアを置く形ですが、イオンが主導する経営統合です。統合後は5,000店舗・売上高2兆円超の超大型チェーンとなります。ツルハの調剤比率は低いですが、それを除いて考えると、「食品・消耗品の安売りで集客し、薬で利益を出す」構造はウエルシアと同じです。立地も似ており、共通化によるメリットも大きいとみられます。

「駅前立地、化粧品比率」が特徴のマツキヨココカラ

 マツキヨココカラ&カンパニーは2021年10月にマツモトキヨシHDとココカラファインが統合し誕生しました。両者とも首都圏・近畿の駅前立地の店舗が多く、化粧品比率が高いという特徴があり、統合のメリットが大きいと考えられます。統合にあたり「美と健康の分野でアジアNo.1を目指す」を標榜していました。23年度末の店舗数は3,464店舗で、マツキヨグループは1,904、ココカラファイングループは1,560店舗です。  ウエルシアと比較すると同社の商品構成は大きく異なります。売上高に対する化粧品の構成比は34%であり、15%のウエルシアの2倍です。食品に関してはウエルシアが2割以上を占めるのに対し、マツキヨココカラ&カンパニーは9%しかありません。化粧品の依存度が高く、同じドラッグストアとはいえ別業態のような構成です。また、マツキヨココカラ&カンパニーにおける医薬品の粗利はおよそ4割ですが、化粧品の粗利も35%であり、両者とも重要な収益源となっています。自社で化粧品のPB商品も開発しています。ウエルシアのように安い食品で客を釣るモデルではないことが分かります。  統合前のマツキヨとココカラファインは駅前立地・化粧品偏重という特徴もあり、コロナ禍ではむしろ業績が悪化しました。20年3月期と21年3月期の売上高を比較するとマツキヨは5,906億円→5,569億円と減少し、ココカラファインも同様に4,039億円→3,664億円と減少しました。インバウンドがほぼ無くなったことも影響しています。しかし統合後は人流回復のほか新規出店もあり、23年3月期から24年3月期にかけて売上高は9,512億円→1兆225億円と伸びました。
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コンビニとは違い、立地別で棲み分けが進む?
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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