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革靴はもはや“絶滅危惧種”。なくなる前に買っておきたい「2つの名品」

いつか消える前に手に入れたい名品。トリッカーズとリーガルの至高の一足

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写真はトリッカーズ公式オンラインGMT inc.より

そこで、いつかなくなってしまうであろう本格革靴として、ぜひ手に入れてほしい靴があります。まずは英国トリッカーズの「ストウ」。通称カントリーブーツです。定価は13万2000円ですが、楽天などの並行輸入であれば同じものがまだ5万円ちょっとで買えます。 私も20代から愛用しており、現在は2代目を10年以上履いています。優雅でありながら、とにかくタフの一言。このモデルがきっかけで靴職人になり、革靴の世界にのめりこむ方も本当に多い。通称が「カントリー」という名の通り、本来は泥の田舎道(カントリーサイド)を歩くための靴です。履いてなじむまで半年ほどはかかりますが、馴染んでしまえば年を追うごとに風貌が化けていきます。ケアさえすれば雨も雪も関係ありません。トリッカーズの職人から聞いたところによると、なぜか本国イギリスでは人気がなく、イタリアと日本が主な販売先というのが面白いところです。

戦後世代が履いていた「古き良き革靴」

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写真は公式サイトより

次に、リーガル「2236NA」。3万8500円。1972年(!)から売れ続けている、革靴といえばリーガルの代表モデルです。ではあるのですが、生産数は加速度的に減っていて、購入されるほとんどの方がリピーター。今さらですが、リーガルは日本の会社です。旧名がまんま「日本製靴」。さすが昭和生まれのモデルだけあって、「ザ・幅広甲高」モデル。いやもう、本当によくできています。キズがついてもどうということがない肉厚なシュリンクレザー、当たり前のグッドイヤーウェルテッド製法、なんせこの存在感。底も今は珍しい革底ですが、ヒールだけはゴムでできており、意外に滑りません。 直接足があたる「中底」(中敷きではありません、もっとつまさきの方です)がタンニンなめしの革でできていて、吸湿性はどんなハイテク素材もかないません。私自身この靴を数十足とリペアしてきましたが、くさかった靴は1足もありませんでした。タンニンなめしの革というのは汗を吸うだけでなく、抗菌効果があります。その分原価も高いのですが、快適さを知ってしまうと戻れません。この靴、リペアを前提につくられているので、どこがどう壊れても本当に修理がしやすいのも特徴です。 戦後世代が履いていた「古き良き革靴」は探せばまだ残ってはいます。しかし私の目から見ると、品質はガタ落ちしています。アメリカの超名門の10万円を超えるような革靴もびっくりするような低品質の素材を使っていたりします。表参道にあった名門チャーチは、日本からはほぼ撤退しました。あれが欲しかったのにと悔やんでももう遅いという時代がきています。 本格革靴の衰退は、「硬い・高い」が原因です。この先、安い革靴のマーケットもスニーカーにどんどん奪われていくでしょう。絶滅危惧種である「憧れの革靴」は、買えるうちに買っておきましょう。 <文/シューフィッターこまつ>
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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