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「災害級の大雨で帰宅困難」。濡れてもバリバリ歩ける帰宅用シューズ3選

浸水すると“意外にたちの悪い”長靴

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。 8月に各地で大きな災害をもたらした台風10号。9月も台風が連発して上陸しそうです。雨風が想定される予報での外出において「帰宅時に案の定、困った!」という方は多いと思います。昨今の巨大台風による風雨は、都会でもヒザまで浸水するので、基本的に靴での対策は無力です。そこで今回は濡れることが前提で、しかも安全に歩ける靴を紹介します。 まず、ゴアテックスやゴム長靴は、上からたたきつける雨には有効ですが、一度浸水してしまうと中に入った水は抜けません。とくにゴム長は中が真空状態になり、なんとか帰宅できても、驚くほど脱げません。筆者も実験したことがあるのですが、片足脱ぐのに20分以上かかりました。最後は靴にシャンプーを流し込んで全力で脱ぎました。その間はちょっとしたパニック状態。災害活動や救助活動用のゴム長はフードやファスナーがついているので心配はありませんが、一般のゴム長は凶器と考えていいでしょう。 完全に足首から上まで浸水することがわかっている状況であれば、開き直って「水を放出して、滑らずに安全に歩ける」ことが一番重要です。お手軽なものから本格アウトドアまで、おすすめを3選紹介していきましょう。

2000円でおつりがくるコード付きのマリンシューズ

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Lvptsh「マリンシューズ」。2299円。写真はAmazonより

濡れる前提で履くなら、まずはマリンシューズ。海や川で遊ぶ時の必需品で、ネットで手軽に手に入ります。私もサンゴ礁での水遊び用に1足持っていますが、ネットで1500円くらいで購入できます。こんな値段でも案外と使えて便利です。濡れても重くならず、小石の上を歩いても平気。水洗いすると一晩で乾きます。9月までなら、どこのアウトドアショップでも2000円前後で売られています。 海・川の中でもケガをさせないための靴なので、ソールも丈夫。日常でヘビ―ユーズさえしなければ安全でコスパもいいでしょう。なんせくるくると折りたためてサンダルよりも軽いので、カバンに放り込んで持ち歩いたり、ロッカーに常備しておいてもジャマになりません。どこのメーカーでもいいのですが、できれば紐の代わりにコードが付いたタイプがおすすめ。ソックス状のものは意外に脱げてしまいます。 ただし経年劣化によって寿命は2~3年だと考えてください。ナイキやアディダスからも7000円程度で売られていますが、耐用年数以外は格安製品とそれほど差はありません。年に数回履く程度であれば2000円程度のもので十分です。

フェスでも人気の地下足袋は驚異のグリップ力で濁流も安心

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丸五「実用足袋」。2750円。写真は公式HPより

地下足袋も台風には有効です。最近では、レインシューズ替わりにフェスなどで履く方も増えてきました。足の裏を鍛える「ベアフットランニング」として地下足袋で走る方もいるそうです。あらゆる靴の中でグリップ力は最強。「踏ん張る」ことに徹した履き物なので、濁流の中でも流されることがありません。 マリンシューズより底・アッパーも厚く、帰宅時に砂利道があるような場所でも問題なし。紐の代わりに、うしろに「大ハゼ」が3枚付いていて、脱着がラクな割には歩いていても脱げません。なにより2000円台というお値段。台風だけでなく、災害時や普通の雨用の通勤靴としても使えるので、実用度としてはベスト。ソールが薄くやや心もとなく見えますが、中に脱着可能なぶ厚いインソールが入っているので、コンクリートの上も平気で歩けます。 地下足袋もコンパクトに折りたためるので、職場や自宅に置いていてもゴム長のように必要以上に場所をとりません。
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濁流から旅行まで。水陸両用サンダルの王道
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こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ

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