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あの頃、俺たちはハングリーだった 『劇映画 孤独のグルメ』公開記念・松重豊×甲本ヒロト特別対談

俺たち、豆タリアン!?

――せっかくこういう映画なので、おふたりの人生最高グルメもお伺いしたいです。 甲本: 僕、ある時期、自分が好きなものがわかった。豆だった。30歳ぐらいの時。 松重: わかる。俺も豆好きやもん。 甲本: わかるんか。豆はうめー。あの味が好き。 松重: 豆はいつまででも喰えるよね。 甲本: 喰える。そやから、ある時から枝豆も素茹でで、塩かけずにそのままいく。 松重: 俺はちょっと塩分は欲しい。だけど、シューマイとかグリンピースが乗ってるとどかす人がいるのは許せない。 甲本: 同じ、同じ。どかすんだったら、俺のにもう1個乗せろ。豆は丹波の黒豆も旨いし、信州のくらかけ豆も旨い。 松重: あんた詳しいな。 甲本: 豆タリアンやからね。ツアー行って豆買う時もある。あんたもそうだろ? ロケとかでいろんな所に行って、つい道の駅とか見るじゃろ? 松重: 見透かされてる。今回、この映画の宣伝で鹿児島行ったり、岩手行ったりしたけど、道の駅でいろんなものを買うから、物が溜まりまくって大渋滞してる。

今飲みたいのはサンラータン

――今回の映画は、スープの味を探し求めるお話です。そこで、おふたりがお好きなスープも教えていただいていいですか? 甲本: いろんなインタビューを受けてきたけど、お好きなスープを聞かれたのは初めてだねぇ。今飲みたいのは、サンラータン。 松重: またマニアックな。 甲本: 美味しかろう? 松重: 美味しいけど、『珉亭』にないから、あんなん昔は喰ったことなかった。俺はとにかく豚汁が好き。 甲本: それはずるいわ。それはみんな好きよ。 松重: 映画の現場って冷たい弁当で我慢しなきゃいけないことが多くて、そんな時にあったかい豚汁が出てきて、「ちょっと暖取ってください」って。そんなの絶対に美味しいに決まってる。 甲本: どんな一流シェフもできんて、あんなもん。 松重: 2日目、3日目ぐらいでまた豚の脂がこなれてきてね。蓮根とかに沁み込んで。 甲本: なんか知らんけど、ペラッペラのリトマス試験紙みたいなこんにゃくがいっぱい入っとる。あれ、なんか好きなんよな。 松重: まあでもサンラータンもいいね。お腹空いてきた。 甲本: 俺は具体的にいま喰いたいものを言った。 松重: 寒くなってきたから、スープ欲しいよね。映画の公開が冬でよかった。スープのいいところって、食べたお客さんが「これなんの出汁?」って謎を知りたくなるところ。で、スープの中には素材や、隠し味や、目に見えない努力とかが入っている。そういうものって、どんなものでも感動するし、それがスープというものをテーマにしたかった理由なんです。ほら、サンラータンも何で出汁とってるかわからんもんな(笑)。
松重豊×甲本ヒロト対談

『劇映画 孤独のグルメ』は2025年1月10日全国公開

【構成/山脇麻生 撮影/高橋ヨーコ スタイリスト(松重)/増井芳江 ヘアメイク(松重)/高橋郁美 衣装(松重)/suzuki takayuki 武田メガネ(参考商品)】
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