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退職代行はシニア層にも認知度拡大中。しかし「興味はあるけど使えない」切実な理由が…

人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、今回はシニアの退職代行活用について解説する。

シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏

新入社員が入社直後に使う例もあることで話題の退職代行。若者が使うイメージが強いが、シニアも退職代行を使うのだろうか。退職代行の活用を検討したシニアの衝撃の結末を語る。

いまや一般化した退職代行という存在

新生活のシーズンになり、案の定というべきか、インターネット上では入社後すぐに退職代行を使った新入社員の話題が飛び交った。ざっと見る限り、過去に比べて入社後すぐに辞めること自体への批判はだいぶ少なくなり、辞める理由となった企業の姿勢や言動などに批判的な意見が集まりやすいようだ。 退職代行を使うことに否定的・消極的な意見がある程度見られるものの、これらも退職代行が話題を呼び始めた頃よりは少なくなってきた印象だ。好むと好まざるとにかかわらず、退職代行がそれだけ一般に浸透したということだろう。 さて、退職代行というと、冒頭でも触れたように新卒など若手が主に活用するイメージだが、シニアでも活用するのだろうか。今回は、退職代行も含めたシニアの退職事情を解説する。

シニアは「引き止め対策」に退職代行を使いたい

先に結論を述べると、シニアでも退職代行を活用する人はいる。確かに若手に比べると実際に活用するシニアは限られているが、それでも興味を持つシニアは多い。 もちろん、シニアと若手では退職代行を活用する背景も異なる。若手では、「退職を自分から言い出しにくい」「すぐに辞めたい」などの理由が多そうだが、シニアの場合は引き止めや退職届の不受理など「辞めさせてもらえないこと」を理由とする人が圧倒的に多い。 私たちシニアジョブがシニア求職者から「退職代行」というキーワードを聞く場面のほとんどは、「現職を辞めさせてもらえないため、退職代行を使おうか迷っている」という内容である。 ちなみに2023年10月にエン・ジャパンが公開した調査結果では、退職代行利用の理由の1位は「退職を言いだしにくかったから」。続く2位が「すぐに退職したかったから」で、「退職を認めてもらえなかったから」は5位だった。
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年齢的なリスクから「使いたくても使えない」
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50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中

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