「今考えると、最初から辞める気だったんだと」入社1週間で退職代行を使う新入社員への“違和感”を上司が吐露
現在は求職者に有利な売り手市場。多くの業界が深刻な人手不足に陥っている中、人材を確保するのは容易なことではない。
特に中小企業や賃金などの労働条件で劣る業種の場合、ようやく入った新入社員が短期間で離職する、なんてことも珍しくない。中田定次さん(仮名・46歳)が施設長を務める老人ホームでも離職率の高さは大きな悩み。
大きな痛手だったのは、数年前に入社した大卒の新入社員Aさんがわずか1週間で辞めてしまったことだ。
「一般の介護スタッフは正社員、パート問わずに常時募集をかけていますが、彼は4月入所の新卒採用枠。この年の春に入った唯一の職員でした。しかも、在学中に社会福祉士の資格を取得しており、ゆくゆくは責任あるポジションで……と期待を寄せていました」
大学在学中に別の施設で実習を行っており、どういう職場かはある程度把握しているはず。勤務態度もいたって真面目で、問題があるようには見えなかった。
「強いて挙げるなら口数が少なく、大人しい印象を受けたくらい。ほかのスタッフにもそういうタイプの方はいましたし、性格的なものなんだろうと思っていました。今となっては最初から辞める気マンマンだったから積極的にコミュニケーションを取らなかったのかもしれませんが……」
ちなみに当時はコロナ禍だったが、入居者の家族でも面会制限が設けられており、施設全体がピリピリした雰囲気だったのはAさんが入る前のこと。当時は面会制限も緩和され、「そこまで悪い雰囲気ではなかった」と話す。
「最初は研修期間だったため、現場で働きながらウチの施設の業務を覚えてもらう予定でした。そのため、シフトも出勤していた5日間はすべて9-18時の日勤。タイムカードも確認しましたが、残業も一切ありませんでした」
5連勤の後、2日間の休日を挟んで出社することになっていたが、出社予定時間に一本の電話が鳴る。事務所でデスクワークをしていた中田さんが出ると、相手は退職代行サービスの業者を名乗ったとか。その場でAさん本人に代わって退職を告げられた。
「実は、以前勤めていた別の老人ホームでも退職代行サービスを利用して辞めたスタッフがいたんです。この時は私が対応したわけではないですが、メディアでも多く取り上げられていましたし、ついに来たか、という感じでしたね。
こうなってしまった以上、どうすることもできないので受け入れるほかなかったですが、辞めるにしても早すぎるだろ!とは思いましたけどね(苦笑)」
退職代行サービスの担当者はいたって事務的に話を進め、淡々とした口調だったので中田さんも冷静。Aさんから退職届と支給品の制服を後日郵送してもらう形で話がつき、5分ほどのやりとりで終わったという。
「自分が当事者となった場合、感情的になって声を荒げてしまったらどうしよう、逆にこういうサービスを通じて辞職を告げられることにショックを受けるのかなと考えたこともありましたが、どちらの感情も湧きませんでした。
Aさんに関しては期待のルーキーだったのは事実ですが、戦力となる前に辞められてしまったため、良くも悪くも影響はそこまでなかったのは不幸中の幸いだったのかも。これまでも短期間で辞めたスタッフは何人もいますが、それでも1か月や3か月などの月単位。
それが1週間ですから辞めた理由については知りたかったのですが、先方からは『一身上の都合』以上のことを聞くことはできませんでした。そこは残念でしたけど、まあそんなものなのかなって」

※画像はイメージです
勤務態度はいたって真面目だったのに……
退職代行サービスから辞職の申し入れ。受け入れるしかなかった
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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