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「電車のロングシートで駅弁を食べる」のはマナー違反?「みっともない」「臭いなければOK」賛否の声

 鉄道の座席は、各座席が向かい合わせになったボックスシートに、新幹線などのように進行方向に同じ向きに並んでいるクロスシート、両サイドの窓側に沿って横長に配置されるロングシートの主に3種類。  1両あたりの輸送力がもっとも多いのは立って乗車できるスペースが広いロングシートで、主に大都市圏の路線で採用されている。  これに対し、地方のローカル線ではボックスシートが主流だったが、これはひと昔前の話。現在は地方でもロングシートの車両が増えている。  通勤や通学で利用する分には座席のタイプがどうであれ気にする人は少ないかもしれないが、旅行利用するなら窓に背を向けるロングシートよりボックスシートやクロスシートのほうが景色を眺めやすい。  それに周囲の目をあまり気にせずに済むため、車内での飲食にも適している。そのため、せっかく車内で食べようと駅弁を買ったのにロングシートでがっかりしたという経験を持つ人もいるはずだ。
ロングシート

ロングシートの車両 ※画像はイメージ

ロングシートの車両は駅弁を食べるのに不向き?

 鉄道ファン歴30年の高井裕典さん(仮名・36歳)は、一昨年に離婚を経験。それを機に元妻と交際していた20代半ば以降、ほとんど行くことができなかった鉄道旅行をすることに。最初の旅行先に選んだのが秋田だった。 「通過したことは何度かあったけど、ちゃんと見て回ったことがなかったので。週末に有休を組み合わせて4連休を取り、金曜日に仕事が終わった後、新幹線に乗って秋田へ。久々の一人旅だったから心が躍りました」  その日は秋田駅近くのビジネスホテルに泊まり、翌日向かったのは男鹿半島。秋田駅から終点の男鹿駅までは普通列車で約55分。ホテルは素泊まりのプランだったため、駅弁を買って車内で朝昼兼用の食事にすることに。  比内地鶏を使用した鶏めし弁当を購入し、すでにホームに停車していた列車に乗り込むが予想外の事態が訪れる。なんと座席はすべてロングシートだったのだ。 「鉄道は好きですが車両マニアではなかったため、そっちの情報には疎くて……。地方のローカル線だからボックスシートに違いないと思い込んでいたんです。車窓を眺めながら駅弁をゆっくり食べようと思っていたから完全にアテが外れました(苦笑)」  しかし、お腹が空いていたので居心地の悪さは感じたものの、駅弁を食べることに。ところが、近くに座っていた50代くらいの男性は、それを避けるように離れた席に移動。斜め向かいに座る10代らしき2人組の女性にも何度もチラ見されているように感じたそうだ。

周囲の目が気になり、駅弁を食べるのを断念

「不快感を与えてしまったんでしょうかね。なんか気まずさを感じてしまい、まだ半分以上残っていましたが駅弁のフタを閉じて食べるのをやめました。そこまで強烈な匂いを発しているとは思いませんでしたが、この状況で食事を続けられるほどの神経の図太さは持ち合わせていなかったので」  新大阪駅の新幹線改札内のフードコートで売られているたこ焼きには、《新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います》とのシールが貼られており、メディアに取り上げられて話題になったことも。ちなみに彼が食べた駅弁や購入した売店にはそういった注意書きはなかったそうだ。 「海外だと地下鉄や近郊列車での飲食は禁止のところが多いのは知っています。でも、日本でそんな話は聞いたことがないし、そもそも駅弁なら車内で食べてもいいはず。  朝晩の混んでいる時間帯なら配慮する必要がありますが、私が乗っていたのは空いている時間帯です。『なら駅弁を食わなきゃいいだろ!』と言われそうですが、せっかくの旅行に水を差された気分でした(苦笑)」  筆者も車内で食べようと駅弁を購入することはよくあるが、小心者ゆえにロングシートで食べる勇気はない。そもそも落ち着いて食事ができないし、自意識過剰なのかもしれないが高井さんのように周囲の視線が気になるからだ。
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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