「“駐車違反金”を無視し続けた男」の末路。元ディーラー営業マンが見た
都市部や駅前では、道路に車を停め、用事を済ませたところでフロントガラスに「駐車違反」のシールを貼られた経験がある人も多いでしょう。車からちょっと離れただけなのに……。今回は、筆者がディーラー勤務時代に起こった駐車違反にまつわる出来事をご紹介します。
事件はちょうどゴールデンウィーク明けに起こりました。スポーツタイプのセダンで颯爽と来店した30代後半と思しきクールな男性が、「車検を急ぎでお願いしたいんだ」と言います。私はショールームの当番で受付を代わりに行い、ちょうど自分の担当エリアだったのでご挨拶しました。整備の相談は、サービスフロントマンに引き継ぐルールでしたので、そのまま代わってもらいました。
このお客様、なぜ急いでいたかというと、車検の残りが後3週間ほどに迫っていたのです。営業マンがついているお客様であれば3ヶ月くらい前から買い替えのアプローチを行うのが普通でしたから、車検の期日に間に合わないということはありません。一見のお客様だからこそ起こるドタバタ劇なのです。
受付をしたサービスフロントは、いっぱいいっぱいだった車検の整備枠をなんとか空けて、車を預かります。車検整備自体は何のトラブルも起こらずに1泊2日で終了。ちょうど土日を挟んだので車検証の代わりになる発行から2週間有効の「保安基準適合標章」というカードサイズの書類をフロントガラスに貼り付けて車を納めました。
ここからが事件です。車検証の更新に陸運局に行ったスタッフから「車検の更新ができない」と報告が入ったのです。書類の不備かと思いきや、スタッフから「駐車違反の反則金の滞納が3件もあって……」と、追撃ともいえる報告が。実は、駐車違反の反則金を支払っていないと車検の更新ができない「車検拒否制度」というものがあり、一見で来たお客様が見事に合致したのです。
フロントマンと私はお客様に電話。すると駐車違反に身に覚えがあるようで、督促状が届いていたことに気づいていたにもかかわらず、支払っていないとのことでした。このままでは車検が更新できないので早く支払って欲しい、と伝えました。保安基準適合標章の期限切れまで、あと5日まで差し迫っていたのです。
「急いで車検を通して欲しい」と来店

※写真はイメージです。以下同
わざわざ枠を空けるも…
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埼玉県在住の兼業ライター。大学卒業後、大手日系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。X(旧Twitter):@gengen801
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