配達中の「駐車禁止」罰金は自腹…“免停でクビになった”ヤマト、佐川の委託ドライバー「過酷すぎる実情」
全国のあらゆる人が当たり前のように利用している荷物の配送。国土交通省のデータによると、年間約51億個の荷物が運ばれているようだ。しかしその裏側では、宅配業者が過酷な環境で奮闘していることをご存知だろうか。
今回、話を伺ったのは現役宅配業者の田中拓也さん(仮名・40代)。佐川急便やヤマト運輸から委託を受けた業者から、個人事業主として配達の仕事を受けているという。
田中さんによると、1日1人あたり100個から多いときで300個近くの荷物を届けているようだ。そして仕事の性質上、駐車違反の取り締まりに悩まされながら日々働いているという。
「受け取る側となるお客さんに知ってほしいことがたくさんあります」と話す田中さんに、宅配業者の裏側と、私たち受取人ができることを聞いてみた。
ここ最近は多くの人が「置き配」を利用しているが、田中さんによると「置き配のルールを誤解している人が多い」という。
「私は委託業者として、主にヤマトと佐川の荷物を配達しています。置き配のルールは、どちらの会社も、原則として在宅している家にしか荷物を置くことができないんです。配達員はピンポンを押して、受取人が在宅していることを確認してから『置き配します』と伝え、荷物を置いていきます。ルールとして本末転倒のような気もしますが、トラブルを避けるためにも一声かけないといけないんです」
しかし、このルールを知らない受取人も多いようで、ピンポンが鳴っても出てこないケースもあるようだ。もちろん出てこなかった場合も不在と同じことなので、基本的に置いていくことはできない。田中さんは、スムーズな配達のためにも、受取人に知っておいてほしいことがあるという。
「置き配を希望する場合は、ピンポンが鳴ったら『玄関に置いてください』と、ひと言かけていただけるとスムーズに対応できます。また、『〇〇(名前)です。玄関に置いてください』と名前を伝えることも重要です。宅配業者は、荷物の宛名と受取人が一致しているか確認する必要があるので、名前を聞けば安心してお渡しすることができます。置き配だから不在でもいい、置き配だからピンポン鳴っても出なくていい、といった考えの人もいると思いますが、原則として『受取人とまったくコンタクトを取らずに置いて帰ることはできない』ということを知ってほしいです」
また宅配業者にとって、もっとも大きな問題は駐車違反の取り締まりだ。田中さんは自身の経験を交えて説明する。
「配達中、どうしても駐車禁止の道路に駐車しなければならないときもあり、その際に駐禁を切られることがあります。委託業者の配達員として働いている場合、駐車違反の罰金は自腹です。駐禁を切られると1回で1万5千円の罰金が発生し、1日に100個運んだとしても、その売上が全て吹きとんでしまいます」
罰金だけでなく、違反が積み重なると免許停止のリスクもある。この問題は、自車で配達する場合と委託業者からのリース車で配達する場合で事情が異なるようだ。
「委託業者の配達員として働く場合、委託業者から月に数万円で車を借りて配達するパターンと、自車で配達するパターンがあります。ここが大きなポイントで、自車の場合は反則金を払うだけでなんとかなりますが、リース車の場合、駐禁を切られたら必ず出頭しなければならないのです。出頭するともちろん違反点数が課されるわけで……」

現役配達員の田中拓也さん(仮名・40代)
知られざる「置き配」のルール
配達中の“駐車違反”で免停のリスクも…
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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