自動車ユーザーなら誰しも実感している自動車関連税の大きな負担。クルマを買うときに払って、車検のたびにも払って、ガソリン入れるたびにも払って、乗らなくても所有しているだけでも毎年払ってる。そんな日本の自動車関連税は世界一高いと信じていましたが、実は違いました。ではわが国の自動車関連税はどうすべきか? 自動車評論家の渡辺陽一郎氏と大激論!
MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi
自工会の主張に異論あり!
日本の自動車ユーザーは、世界一高レベルの税金を負担している! と吠えたのは、トヨタの豊田章男社長。それに対する賛同の声が続々と聞こえている。
が、それって本当なのか? 税金って安くできるのか? そのあたりについて、2名の自動車評論家が激論を交わした。
清水:渡辺さんは、自動車関連の税金を、ほぼ全部下げろっていう意見ですよね?
渡辺:たとえば、もともと道路特定財源だった税は、即座に廃止すべきですよ。もう課税の根拠を失ってるんだから。
財務省作成のわが国の平成30年の税収(国税+地方税)の内訳。自動車関係諸税は合計で年間8兆円以上。大幅減税には莫大な財源が必要だ
清水:えーと、何と何でしたっけ?
渡辺:自動車取得税、重量税、ガソリン税、軽油引取税その他です。
清水:燃料税を全廃ですか!?
渡辺:ガソリンや軽油は、暫定税率で税額が大幅に上乗せされているうえに、その税金に消費税までかかってる。ガソリン価格の半分近くが税金じゃないですか。
清水:そうだけど、日本の燃料税は、国際的に見ると高くはないですよ。
渡辺:まあ、ヨーロッパはもっと高いですけどね。
清水:ヨーロッパは今、軒並みリッター200円。日本より燃料税が安いのって、先進国ではアメリカとカナダくらい。どっちも産油国でクルマがなきゃどこにも行けない国だ。そういう国よりもっと燃料税を下げろってことですか?
渡辺:日本だって地方に行けば、クルマがなきゃどこにも行けないのは同じじゃないですか?
清水:いや、アメリカでは大都市だってクルマがなきゃどこにも行けない。日本をそういう国にしたいんですか? 私はクルマ好きだけど、それには反対だ。ちゃんと電車も残さなきゃ!
渡辺:大都市部の電車はなくならないですよ!
清水:いやあ、税制が国のカタチを作るんですよ。クルマ偏重は国を亡ぼす! だいたい財源もないでしょう。燃料税全体で年間4兆円以上の税収になってるんだから。渡辺さんは代わりの4兆円、どっから持ってくるつもりですか?
渡辺:ゼロにしろとは言いません。ガソリンの二重課税はおかしいとか、そういうことですよ!