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すき家の新メニュー「ナポリタン牛丼」が賛否両論。“味”は及第点も、どこか“物足りない”と感じたワケ

2025年、すき家に関連するニュースが続々と報じられました。これにより、強い不快感や疑念を抱いた人は多いことでしょう。1月に鳥取南吉方店でみそ汁にネズミが混入し、公表と謝罪までに約2カ月かかってしまったことに消費者の不信感が爆発。 その後、すぐに今度はゴキブリの一部が混入してしまうという事態に……。これらの一連の出来事は想像を絶するような内容であり、SNS上での大炎上にとどまらず、すき家における4月の売り上げは92%、客数は84%(前年同月比)を記録。リアルなすき家離れが進んでしまっていることが分かります。
ナポリタン牛丼

今年に入ってから立て続けに起こったネズミ・ゴキブリ混入問題を受けて、すき家では24時間営業を停止。毎日1時間の清掃を実施することになった。

「24時間営業中止」は信頼回復につながるか

ナポリタン牛丼

ナポリタン牛丼 並盛690円

同チェーンは4月5日から24時間営業を取りやめて、毎日午前3時から4時までの間に清掃を実施すると発表。予防策として、老朽化が進んでいる店舗の改装や厨房設計の見直しも宣言しています。4月3日のリリースでは、「すき家は、お客様の信頼回復に向け、引き続き害虫・害獣の外部侵入および内部生息発生撲滅のための対策に取り組んでまいります。」という文面で締めくくられていました。 これから先、すき家に明るい未来はあるのでしょうか? 大手フードチェーンにあるまじき重大な過ちを犯したのですから、害虫・害獣撲滅さえすれば信頼回復になるわけではないということくらい、誰もが分かっていること。今後発売されるメニューやキャンペーンの内容などをひっくるめて、すき家の姿勢は様々な視点からじっくりチェックされるべきでしょう。 そこで今回は、4月に新発売となった「ナポリタン牛丼(通称:ナポ牛)」を実食し、SNS上での評判もふまえて、今のすき家に足りないものは何なのか? 今後すき家に求められることは何なのか?について考えてみました。

賛否両論の「ナポ牛」は意外にも…

ナポリタン牛丼

ナポリタン味のペンネが牛肉の上にどっさり乗っている。

はじめにナポ牛(ナポリタン牛丼 並盛690円)とチーズナポ牛(チーズナポリタン牛丼820円)を実食してみました。名前だけ聞くと、牛丼にナポリタンという奇想天外な組み合わせのように思いますが、食べてみると個人的には全く悪くありません。パスタと牛肉をしっかり和えることで味の変化も生まれます。 さらに混ぜながら食べ進めることでドキドキワクワク感が長く続き、最後まで楽しくおいしく味わうことができました。冷静に考えてみると、牛肉とトマト、トマトと醤油、チーズと牛肉は相性が良く、旨味の相乗効果もあって濃厚なコクを楽しむことができたのだと思います。 X上での評価を見ていくと、賛否両論。とても美味しくて大満足すぎる、キワモノかと思ったら正統派まっしぐら、と言った称賛の一方、ナポ無しの方が多分うまい、自分には合わない食べ物というネガコメントも並び、自由に盛り上がっているではないですか! そしてさらに細かく見ていくと、ネズミ混入問題と並べてナポ牛を批判するケースはゼロではないにせよ、それほど多くはないのが分かります。
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「いまだにモヤモヤする」理由を紐解くと…
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食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12

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