「ほかの家庭に行って、ちゃんと幸せになってほしかった」相手がわからない子供を出産した26歳女性の後悔
生後間もない赤ちゃんの遺棄事件が相次ぐ中、熊本に続き東京でも運用が始まった「赤ちゃんポスト」や、匿名で出産できる「内密出産」に注目が集まっている。母子を苦しめるのは男性か、それとも社会か。最前線に迫った。
生まれたばかりの赤ちゃんを母親が殺害・遺棄する事件が後を絶たない。今年4月、長野県上田市の女子高校生が、自宅で出産した赤ちゃんを放置・死亡させたとして、殺人などの疑いで逮捕された。
5月にも名古屋市の20代の女性が、1月に産んだばかりの自分の赤ちゃんの遺体をビニール袋に入れ、マンションのベランダに遺棄した疑いで逮捕されている。
「事情があって一人で出産しなければならない場合、絶対に誰にも知られたくないという精神的な負担が大きい。加えて、陣痛の激しい痛みや出血が複合して正常な判断ができずに殺してしまうこともある。長野県の女子高校生の事例も、おそらくパニックになってしまったのでしょう」
こう話すのは、熊本県の慈恵病院院長・蓮田健氏。同病院では’07年から匿名で赤ちゃんを受け入れる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる「赤ちゃんポスト」を運営している。
開設後、’24年3月末までに179人の赤ちゃんが預けられており、孤独な母子を救う最前線と言える存在だ。
「こうのとりのゆりかごは、赤ちゃんの遺棄・殺人を防ぐ目的で開設しました。開設当初は『育児放棄や子捨てを助長するのではないか』『匿名で預けて逃げるのは無責任』という批判が多くありました。しかし、実際には毎年約10人の赤ちゃんが預けられており、完全ではないですが、目的は果たせていると思います」
慈恵病院は、“孤立出産”に対する支援も行っている。孤立出産とは、医療者などの立ち会いなしに、トイレや風呂場で一人で産むことを指す言葉。
母子ともに出産時に危険を伴うだけでなく、産後の処置や育て方がわからず、遺棄されるケースも少なくない。
慈恵病院では、こうのとりのゆりかごに預けられる赤ちゃんのほとんどが孤立出産だったことを受けて、匿名・無償で出産できる“内密出産”を’19年から導入している。
「内密出産では、’21年12月からの3年間で約40人が生まれ、こちらも一定の成果は得られています。しかし、赤ちゃんポストも内密出産も知っている人は少数です。こういう取り組みについて、病院からの情報発信や性教育を通して、今後さらに認知を広げられればいいなと思っています」
今年3月、東京・賛育会病院が日本2例目の赤ちゃんポスト「ベビーバスケット」を運用開始。支援の輪は広がりつつあるが、女性を取り巻く状況はどうなっていくのか。
「産まれた命を救いたい」赤ちゃんポストの今
![[赤ちゃんを育てない決断]のリアル](https://nikkan-spa.jp//wp-content/uploads/2025/05/20250526baby3-550x826.jpg)
慈恵病院は、孤立出産や内密出産に関する相談をLINEでも受け付け開始
![[赤ちゃんを育てない決断]のリアル](https://nikkan-spa.jp//wp-content/uploads/2025/05/20250526baby4-550x826.jpg)
産婦人科医・蓮田 健氏
預けられる赤ちゃんのほとんどが“孤立出産”
1
2
この特集の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
この記者は、他にもこんな記事を書いています




