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一日1時間しか働かないのに年収1200万円の46歳商社マン。上司との面談で「妻が大病で」と噓をつき…

最低限の仕事しかしない「静かな退職」が若者を中心に急増している。しかし、リストラの危機を孕み、40歳以上ともなればリスクはさらに膨らむ……。そんな中、戦略的に窓際ポジションを獲得し、リストラ対象にもならない人たちがいる。あえて“働かないおじさん”という選択に踏み切った会社員の「新・勝ち組」の手法に迫る!

出世街道から外れることを決意

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写真はイメージです

田中 学さん(仮名・46歳) 職業:商社マン 窓際歴:13年 年収:1200万円 空いた時間で株投資を始め、資産も増加中。趣味は神社巡りで「朝、会社に寄れば、後はほぼフリータイム。先日は京都に行きました」 仕立てのいいシャツを着こなし、いかにもデキるビジネスマン然とした恰好で現れた田中学さんは、誰もが知る一流商社に勤務する。さぞかし多忙と思いきや、定時終業のホワイト部署で優雅に過ごす。 「入社当初は花形部署でバリバリ働いてました。10年目には同期最速で役職もつきそうになって、そのときふと思ったんです。激務に耐え、足の引っ張り合いを制してももらえる年収は500万円程度しか変わらない、と。すべてがバカらしくなったんですよね」 出世街道から外れると決意した田中さんの行動は早かった。その後の会社員人生を考えれば昇進拒否では心証が悪いと考え、一計を案じる。 「上司との面談で『実は妻が心の病を患ってしまって、一人にできない。定時終わりか家でもできる部署に配置転換してほしい』と噓をつきました。将来を期待されていた分、上司や人事からは説得されましたが、妻の病気は長期的なケアが必要だと必死に訴えました。『社畜は不幸だ』と信念を強く持っていたので、罪悪感はありませんでしたね」

仕事に割く時間は一日平均1時間

かくして主な仕事は書類作成の部署への異動に成功した田中さん。仕事量は激減し、元来優秀なため仕事に割く時間は一日平均1時間だという。 「今の部署から要らないと言われるとガチの追い出し部屋みたいな部署に飛ばされるので、モットーはミスしない・目立たない・働きすぎないの“3ない”で、ステルス窓際生活を謳歌しています」 ところが最近、社内に不穏な動きが……。 「人事から花形部署への返り咲きを打診され、即決で断りました。今では妻も理解し、応援してくれてます」 不敵に笑う田中さんだった。 取材・文/週刊SPA!編集部