タワマン、コンサル…世間的には「勝ち組」の人々が実感せざるを得ない“本物”との差。「上には上がいるのが東京」
新卒就職・転職先として圧倒的人気を誇っているコンサル。なぜこの仕事が人気なのか。ヒントになるのは、近年流行した「タワマン文学」で描かれた現代人の職業観である。
※本記事は、『東大生はなぜコンサルを目指すのか』から一部抜粋したもの。
東京都心部のタワーマンションなどを舞台に、いわゆる「勝ち組」にも分類される中流層が直面する残酷な格差、さらには内面に巣くう鬱屈や嫉妬心をも赤裸々に描く。ツイッター(現X)への投稿を起源とするそんな小説群は「タワマン文学」と呼ばれ、近年話題になっている。(「『SNSは本当に罪深い』 『タワマン文学』覆面作家・麻布競馬場さんが描く令和の幸福論」産経ニュース、2024年4月17日)
タワーマンション、通称タワマンに住んでいることはそれ自体が今の時代の成功の象徴と呼べる一方で、その中にも息苦しいヒエラルキーが存在することに目を向けるのがタワマン文学の本質である。世の中全体で見れば成功者の側に括られてしまうタワマンの住民が葛藤を吐き出せば、「恵まれているお前が何を言っているの?」ということになってしまう。
不可視にされがちなしんどさをポップな文体で綴ることで人気を博すタワマン文学は、タワマンの住民に限らず多くの人の支持を集め始めている。おそらくその支持層には「自分より優雅に暮らしている人たちの苦しみを眺めたい」というどろどろした感情を持つ人もいれば、学力にも仕事にも恵まれているにもかかわらず漠然とした違和感を抱えながら生活している人々が共感できるコンテンツとして楽しんでいるケースもあるだろう。
タワマン文学の代表的な作品でもある外山薫『息が詰まるようなこの場所で』には「タワマンには三種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ」との記述があり、タワマンに住むサラリーマンはある種のエリートでありながらも実際には住宅ローンや子供の教育費などのために必ずしも余裕のある生活をしているわけではなく、資産家や地権者のような生まれながらに裕福な層とは異なる属性であることが語られる。
この話をコンサルという職業に当てはめると、メン獄が『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』で描き出したコンサルの世界に漂う何とも言えない哀愁もより理解しやすくなる。コンサルは大きく見れば「勝ち組」と言われる側に属する職業であり、タワマンに住む人たちも多数存在すると思われる。
しかし、いくらコンサルファームに勤めているといっても、基本的には会社員であることに変わりはない。高い収入を求めて成長を志しても、上には上がいるのが東京である。必死に働いて収入を上げれば上げるほど、本当の富裕層とでも言うべき人々との差を実感せずにはいられなくなるのである。
さらに言えば、一言でコンサルと言ってもその内実は様々だ。そしてその内実は、コンサルが一般的に認識される職業となったからこそ、業界の外にも知られるようになる。東京の力学に詳しい人たちは、コンサル業界が大量採用を行っていること、もしくは「コンサル」と名乗っていても、その仕事は時に一般的な企業に存在する業務の代行やシステムエンジニアに近いものであることを知っている。

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「タワマン文学」が多くの人の支持を集めるワケ
世間的には「勝ち組」でも、内実は…
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