仕事

「1円でも多くぶんどって辞めるべき」退職者に“悪知恵”を授けるコンサル業者の悪質手口。健康なのに“仮病”を提案された人も

 いまや退職はビジネスと化している。制度を悪用して1円でも多くぶんどって辞めようとする退職者を助長する退職コンサル業者。そこに対抗して予防線を張る経営者——。退職をめぐる“仁義なき争い”の実態を追った!

退職コンサルが入れ知恵、給付金を限界まで搾取!

泥沼[退職バトル]の舞台裏

※画像はイメージです

 退職代行がブームになるなか、すんなり辞めるだけでなく、退職にまつわる制度を逆手に取り、利益を享受しようとする会社員まで現れている。そして、彼らに悪知恵を授けているのが、「退職コンサル」を名乗る業者だ。 「在職中に『眠れない』『食欲がない』などと医師に訴えて診断書を会社に提出し、傷病手当を申請しました。そのまま退職したので失業保険まで受給でき、もう2年ほどブラブラ実家暮らししてます」  そう語るのは、加藤俊樹さん(仮名・29歳)。彼は退職時に退職コンサル業者を利用し、「給付金を最大化するスキーム」を指導され実行した。 「『会社とは争わず、弱った姿勢を取るように』と言われました。淡々と、心身が限界な様子を演じろと。そうすれば、会社は反論できないと」  コンサル料は55万円と、決して安くない金額だが……。 「コンサルからもらった試算では、傷病手当として毎月給与の8割が最長1年半支給される。その後に退職し、年収270万円だったので失業給付が続くことで総額200万円から300万円に達すると。安いものだと思いました」

コロナ給付金から休職の繰り返しの指南まで

 さらに、「オプション」も指南されたという。 「住民票を移して一人暮らしを証明できれば、家賃補助が出る自治体もある。さらに、緊急小口資金や総合支援資金といったコロナ禍で拡充された制度も『利用できる可能性がある』と紹介されました」  ただし他の給付との併用は条件次第で、すべてが通るとは限らない。しかし、「そこは細かく説明されず、とりあえず全部いただいてしまえというノリでしたね」という。  社会保険労務士の田中豪氏は、次のように語る。 「たとえば『休職は最長6か月』という社則を逆手に取ってギリギリで復職し、すぐに再休職することで、長期間にわたり傷病手当金をもらい続ける人も少なくありません」  よって、一定期間内に繰り返される休職を「通算」する制度が広まりつつある。 「『当初の疾患に起因する類似・同様の病気による休職も通算対象とする』条項を追加するなど、より厳密な制度整備を行う会社もあります」(同)
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あまりの“脱法”ぶりに思いとどまる人も……
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