更新日:2025年06月11日 16:39
ライフ

「4キロ2894円」イオンのカルフォルニア米を実食。“食べる価値アリ”と思った理由と“唯一の弱点”

泥沼化しているように思える“令和の米騒動”。2年前には好きな銘柄米を「5キロ2000円弱」で購入できたわけです。それが4500円以上に高騰ーー今の状況に強い憤りや不信感を抱くのは当然のこと。 この異常事態に対する緊急策として備蓄米の大量放出がはじまると、X上は大荒れ。さらに連日ニュースで飛び交うのは、備蓄米が5キロ83円だの、飼料用のエサ米だの、欲しい銘柄米はどこかの悪徳業者が隠してるだの……国民をさらに不安にさせるようなトピックスばかり。もはや何が正義なのか? 誰を信じていいのかわからなくなってしまいそうです。 さらに、新たなトピックスとして浮上したのが、“外国産米”。輸入拡大するかの議論はさておき、6月6日に小売大手のイオンがアメリカ・カルフォルニア産のカルローズ米を都市部の店舗を中心に販売をはじめたのです。このニュースを知って買おうかどうか悩んでいる人も少なくないでしょう。そこで今回は、多くの人々が未体験であろうカルローズ米を実食して、素直な感想をレポートしたいと考えました。
カルローズ米

今月6日からイオングループで発売されたカルフォルニア産カルローズ米「かろやか」。価格は2894円(税込)。果たしておいしいと感じることができるのか?

国産米と明らかに形状が違うカルローズ米

カルローズ米

左がカルローズ米、右が国産米。米粒の形は明らかに異なる。

カルローズ米は、日本と同じ時期に“ほぼ同じ方法”で栽培されています。「短粒種」が主流の国産米とは異なる「中粒種」で、長細いインディカ米ほどではないものの、見た目で明らかに違いがわかるレベル。炊き上がりの状態が気になります。研ぐ前にカルローズ米のにおいや触感を確認しましたが、国産米と大きな違いはありませんでした。 炊飯時に注意すべきは水分量です。国産米よりも水を多めに加えて炊くように記載があるため、1合につき大さじ1程度多めに加えました。浸水30分をしたのちに炊飯器の普通炊きコースで炊いてみることに。 炊き上がりを見てみると、米の粒立ちはしっかりしていて粒の形状はやはり縦長感があります。炊飯中や炊き上がりの香りについては気になる問題点はありませんでした。あえて弱点を探すのであれば、新米の季節に感動するようなお米が炊けた時のいいにおいを強く感じなかったというのが正直なところです。

食べ心地、味わいは?

カルローズ米

カルローズ米の炊き立ての様子。1粒のサイズは大きめで粒立ちは良い。香りはあっさり軽め。

食べてみると、米の甘味や旨味を深く感じるというよりは、非常にさっぱりとした食べ心地。タイ米のような独特の香りは一切ありません。おいしさについては個人差がありますから一概には判定できませんが、全体的にさっぱりとした味わいで、米粒の食感をしっかり味わいたい人にはおすすめでしょう。 米の品評会のようなケースと家庭の食卓とは状況が違いますから、日常に食べるお米として考えた場合、私は肯定的な感想を抱きました。結論、普通においしかったです。また冷めた状態でおにぎりを作ってみましたが、問題なく握ることができました。
カルローズ米

カルローズ米とすし酢を合わせて海鮮丼を作ってみましたが、しゃりがべちゃべちゃすることなく仕上がりました。

さらに後日、寿司酢を加えて海鮮丼として家族にふるまってみましたが、寿司用としても支障はなく、子どもも大人も最後までおいしく味わうことができました。このことからも、カルローズ米は白米として味わうのはもちろんのこと、和食や洋食に広く活用することができそうです。
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米国産米は悪くない。問題は…
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食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12

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