「最も安全で美味しいコメ」を世界へ輸出ーー備蓄米放出でも収まらない“コメ危機”、農水省の“二重の罠”とは
コメの急な価格上昇を受け、政府備蓄米の放出が大々的に行われるも、いまだ収束のめどが見えない「令和の米騒動」。今後、カルフォルニア米をはじめとするアメリカ産輸入米などの順次販売も予定されているが、状況は依然芳しくない。これに対して「今後も正しい施策をとらなければコメの値段は上がり続けるままだ」と警鐘を鳴らすのは、新刊『憤怒と祈りで建国だ』(扶桑社)を上梓した作家・参議院議員の青山繁晴氏。いくら備蓄米を放出してもコメの供給が増えないーーつまり値段が上がり続ける背景には農水省の思惑があり、そしてそれは、消費税を社会保障費の必要財源と嘯く財務官僚の目論見と構造は同じだという。
“政治献金・寄附を1円も受け取らない政治家”として発言を続ける青山氏が、政治家としての忖度しない視点から語る米騒動の行方、そして消費税を下げられない理由とは。
(本記事は『憤怒と祈りで建国だ』より一部を抜粋し、再編集したものです)
コメの価格の異様な高止まりほど、日本政治の無力を主権者に実感させるものはありません。
国民生活の困窮に感覚が鈍く、何をするにしても遅く、動くべきを動かず、目の前を誤魔化すことだけをやる。しかもすべて役人任せです。宿痾というべき日本のまつりごと(政)のこの長年の病気がすべて噴き出ています。
この宿痾は、コメの問題だけではなく、さまざまに深刻な課題も引き起こしています。
たとえば、どうしても減税だけはできず増税しかできないという奇妙奇天烈な国に成り果てているのです。
世界は、中国内陸部の大都市、武漢で2019年12月に発生した新型ウイルスに地球くまなく襲われました。
わたしは危機管理の専門家として、中国科学院の武漢病毒研究所の生物兵器の実験から人工ウイルスが漏れ出た事故であると考えています。だから、どれほど中傷誹謗を浴びようとも社会的な警告の意味で「武漢熱」と呼んでいます。
一方、中国政府は「2019年10月に武漢で開かれた世界軍人競技大会(ミリタリー・ワールドゲームズ)に出場した米軍兵士が感染源だ」という荒唐無稽な主張をはじめ、全否定しています。
しかし武漢病毒研の「病毒」とは中国語では「病の毒」ではなく、ずばりウイルスのことです。この病毒研は西暦1956年6月という古い時代の創立です。同年の2月から、中国とソ連の対立が始まりました。中ソ対立という新たな脅威に備えるためにも、それでいてソ連から秘かに輸入した生物兵器のノウハウも使って、武器としてのウイルスを実用化することをミッション(使命)のひとつとして活動を開始したと、主要国の軍当局の情報部門は考えてきました。
人工ウイルスに襲われるのは人類史で初めてです。しかも世界は交通、通信の発達で狭くなっています。あっという間に世界経済は縮小し、同時デフレに襲われました。
そこに新型ワクチンが投入されました。ワクチンは深刻な尊い犠牲を伴います。同時に効果も強力で、世界では一斉に武漢熱が鎮まり始め、それが今度は同時インフレを引き起こしています。
そのただなかでは日本単独でインフレは鎮められません。コメを含めて物価高は続きます。そこでは消費者の購買力を高めるほかありません。ところが石破政権は消費減税に踏み出せない。足枷は財源論です。
この10年で国の税収は20兆円以上増えました。消費税を1%下げるのに必要な財源はかつて2兆円、今は2.5兆円ほどとされています。単純計算では消費税は0%に近づいてもおかしくないのです。それでなぜ、1%も頑(かたく)なに下げないのか。
「消費税は社会保障費の財源だから」と石破総理はひたすら繰り返します。石破総理も岸田総理も同じです。安倍総理ですら、わたしが消費減税を迫る度に全く同じことを仰いました。
これは財務省が与野党を問わず政治家に刷り込み続けていることだからです。民主党政権で総理を務めた野田立憲民主党代表は今なお「社会保障と税の一体改革を実現した」と胸を張っています。愚かなことです。
なぜ愚かか。
この一体改革なるものの正体は、消費税を目的税にしてしまって「高齢者が増える限り永遠に下げられない税金」に化けさせることだからです。どこが改革でしょうか。財務官僚の罠に過ぎません。

青山繁晴氏
新型コロナウイルスから始まった世界のインフレ
なぜ税収が増えても消費税は下げられないのか

神戸市生まれ。慶應義塾大学文学部中退、早稲田大学政治経済学部卒業。作家。参議院議員。派閥ではない新しい議員集団「護る会」(日本の尊厳と国益を護る会/自由民主党の衆参両院の現職議員83人/2025年5月12日現在)の代表
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