お金

IHコンロvs電子レンジ、電気代がより安く済むのはどちら? 食材によっては6倍近い差も

物価高騰のあおりを受けて、相対的に下がり続けているという実質賃金。通信費や保険料の見直しなどなど毎月の固定費にメスを入れるのが家計防衛の本筋だが、ことここに至り家計への圧迫感が増しているのが月々の光熱費だ。 とくに補助金による負担軽減策が行われている電気代については、オール電化住宅で暮らしている人をはじめ、やはり多くの人が気になるところ。 今回疑問をぶつけるのは、2002年『TVチャンピオン』(テレビ東京)のスーパー家電通選手権で優勝経験を持つ、東京電力エナジーパートナーの中村剛氏。節電・省エネ生活のポイントを聞いた。まずは節約・時短メシとして庶民の圧倒的味方の地位にある「パスタの調理」を例にとって、キッチン周りでの省エネ技を紹介する。
電子レンジ パスタ

画像はイメージです

パスタはどうやって作るのが一番得なのか

乾麺を茹で、市販のレトルトソースをかけるだけでさまざまな味わいを気軽に楽しめるパスタ。東京で一人暮らしを始めてから早15年、パスタで糊口をしのいできた経験は今日に至るまで数知れない筆者である。 オール電化マンションへ移ったここ数年は、電気ケトルでつくったお湯や冷凍ブロッコリーなどの食材を鍋に投入し、IHクッキングヒーターでレトルトパウチと合わせて茹で上げる調理スタイルに落ち着いた。 沸騰したお湯の中で麺を茹でて、レトルトを湯せん……。案外と面倒な調理工程を繰り返す日々のなかで、いつしか「このパスタ調理に無駄な光熱費は発生していないか?」という疑問が、調理のたび頭をよぎるようになった。今回はそんな疑問を中村氏にぶつけた形である。 「いろんな前提条件を踏まえないと正確な答えは出しにくいんですが、できるだけ1円でも節電したいという場合は、熱効率を考えることがまずは大切。考え方の大きな方向性としては電気が生み出した熱を、どれだけ余計なところでロスさせず食材へ伝えられるかがポイントになります」(中村氏、以下同)

それぞれ一長一短が…

電子レンジでパスタなどの乾麺を茹でられる調理器も市販されているが、まずはIHと電子レンジの熱効率を比較してもらった。 「『お湯を沸かして茹でる』と言っても、厳密にはお湯だけに熱を与えられるわけではありません。熱効率を考えた場合、お皿や鍋は食材から熱を奪う要素。IHの場合は鍋自体にも熱を伝える必要があり、鍋を温める熱はロスになります。一方、電子レンジで用いる容器は耐熱ガラスやプラスチック製が多く、こうした素材は(鍋などで使われる)金属に比べて比熱(1gあたりの物質の温度を1度あげるのに必要な熱量)が低い。その分、効率的に麺とお湯に熱を通しやすいんですね
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電子レンジが優勢かと思いきや、短所も
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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