1時間で50万円が動く違法賭博「マンション麻雀」の実態。今では壊滅状態も、その“精神”は歌舞伎町の高レート店へ
プロ麻雀リーグ「Mリーグ」がスタートし、近年は若い女性など新たなファン層を拡大させている印象が強い麻雀業界。だが、麻雀といえば“お金を賭けてなんぼ”というイメージも未だ根強い。
漫画や映画などのフィクション作品でお馴染みの「マンション麻雀」は、マンションの一室で密かに行われる高レートの賭け麻雀のこと。超高レートの違法賭博だけに、麻雀好きの間でもその実態は謎が多い。
今回は、そんなマンション麻雀の現場へ6年間にわたって出入りした経験を持ち、『ルポ マンション麻雀 ‐バブル期から脈々と続く超高レート賭博の実態』(鉄人社)の著者である福地誠氏に“賭け麻雀の真実”を聞いた。
——マンション麻雀のルポということで、なかなか挑戦的な本でした。
福地:最初にお話をいただいた時は、もう少し真面目に賭け麻雀を社会学するイメージだったんですけどね。「そんな堅いのはダメ」と編集者に言われて、最終的に「ルポ マンション麻雀」というタイトルになりました。
——麻雀を知らない人には未知の世界です。
福地:簡単に言うと、マンション麻雀は高レートで賭け麻雀をしたい人たちが集まる、営業許可を取っていない違法の雀荘です。公に営業しているフリー雀荘は誰でも入れますが、マンション麻雀は人ヅテの紹介や誘いがないと入れません。
——本書の中で、マンション麻雀の現場では豪華なグルメが無料で食べられるという話が妙に印象に残っています。
福地:5000円以上するような叙々苑弁当も人気でしたが、僕は渋谷の高級寿司屋の太巻き寿司が一番好きでした。こういう賭場だといくら食っても無料サービスなので、巻き物セットと一緒によく食べていましたね。麻雀打ちの食事としては、打ちながら片手で食べられる巻き物が多いです。
——こうしたマンション麻雀を扱った本って過去にあるんでしょうか?
福地:「むこうぶち」(竹書房)はバブル時代のマンション麻雀を題材にしたロングセラー漫画で、Vシネで映像化もされています。ノンフィクションとして1冊の本にまとめているものは、おそらくこの本が初ですね。
過去に雑誌で取材したものも含めて、マンション麻雀での実体験を自分の「note」の有料記事として上げていて、本書の7〜8割はそうした記事をリライトしている感じですね。
——バブル期から脈々と続いてきたというマンション麻雀ですが、最近はその数が激減しているそうですね。
福地:ほぼ今はないと思いますよ。これはスマホとLINEの影響が大きいですね。LINE交換して各々で勝手に集まれば場代もいらないし、運営側も物理的な場所を構えると摘発リスクが高いので割に合わなくなっているんです。
——プレイヤーも賭け麻雀の現場を抑えられたら前科がつきますよね?
福地:五分五分ですかね。単なるプレイヤーは捕まっても単純賭博罪ぐらいですが、罪として賭場の開帳が一番重いので、運営の側は捕まるとやっぱり大変です。
——福地さんは逮捕されたことはないんですか? また、違法雀荘って、反社が関わっていそうなイメージがあります。どんな人が運営しているのでしょうか?
福地:逮捕どころかニアミスすら1回もないです。むしろ捕まったほうが私のnoteの有料記事はもっと売れるのかもしれませんが……。
マンション麻雀はフリー雀荘の関係者が運営していることもあるし、ガラの悪いヤクザみたいな人を見たことはないですね。
福地:マンション麻雀が激減している背景としては、高レート麻雀の舞台が個室セット雀荘に移っていることも大きいです。歌舞伎町のフリー雀荘のレートが最近どんどん上がっていて、高いところはマンション麻雀と同じぐらいのレートになっています。
——結局、健全化が進んでマンション麻雀の数が減ったわけでは全くないんですね。
福地:酒やタバコが社会から消えるのかというのと同じレベルで、高レート麻雀も簡単には消えないと思います。
——高レート麻雀って最大どれぐらいの金額が動くんですか?
福地:僕が経験したレートで一番高かったマンション麻雀は、だいたい1時間で50万円ぐらい勝ったり負けたりするものでした。ぼくは大敗しないのが最大の長所だったので、最も負けたときは、5時間ほど打って100万円ぐらいです。そう考えると、歌舞伎町のフリー雀荘のレートの上がり方はとんでもなくて、ひと昔前は1時間で数万円レベルだったのに、今は1時間で30万円くらいの額が動きます。
——過激なレートアップ戦争を繰り広げているフリー雀荘が、摘発寸前という噂も界隈ではあるそうですね。
福地:1時間で30万円って、博打としてガチですし、歌舞伎町に本店がある御徒町の高レート店も摘発されましたからね。ただ、みんな「そろそろ危ない」と言いつつ、レートが一番高い店に客が押し掛けていますよ。3つぐらいの店が競争していて、今も上がり続けているような状況です。
——歌舞伎町の高レート店は、例えば大学生でも出入りできるわけですか?
福地:いま一番の高レートで客が押し寄せている雀荘では、東大医学部の大学生がバイトしていました。さすがにマンション麻雀には学生っていなかったですね。マンション麻雀で中国人女性とは何人か打ちましたが、日本人の女性と出会ったことはないです。
——本を読んだ限りの印象だと、マンション麻雀に来ているのは全体的に社会的地位の高い人が多かったような。
福地:ただ、高レートのマンション麻雀と言っても僕と麻雀を打つ人は、たかが知れています。せいぜい社員数十人規模の会社の社長で、その上のランクの社長は僕とはほぼ打たないです。
やっぱり麻雀は遊びであるのと同時に情報交換の場なので。麻雀番組で知り合った大企業の会長とマンション麻雀について話すと、有名経営者の名前がバンバン出てきたこともありました。
——福地さんはマンション麻雀で有名人と遭遇したことはないんですか?
福地:なくもないんですけど、芸能人はやっぱり芸能人同士でやっていますからね。

福地誠氏
マンション麻雀の現場に潜入
——マンション麻雀のルポということで、なかなか挑戦的な本でした。
福地:最初にお話をいただいた時は、もう少し真面目に賭け麻雀を社会学するイメージだったんですけどね。「そんな堅いのはダメ」と編集者に言われて、最終的に「ルポ マンション麻雀」というタイトルになりました。
——麻雀を知らない人には未知の世界です。
福地:簡単に言うと、マンション麻雀は高レートで賭け麻雀をしたい人たちが集まる、営業許可を取っていない違法の雀荘です。公に営業しているフリー雀荘は誰でも入れますが、マンション麻雀は人ヅテの紹介や誘いがないと入れません。

マンション麻雀の待合室(提供写真、以下同)
マンション麻雀は、どんな人が打っているのか?

転売するためだというポーカー台
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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『ルポ マンション麻雀 ‐バブル期から脈々と続く超高レート賭博の実態』 バブル期から現在まで脈々と続く超高レート賭博「マンション麻雀」。ヤクザや裏プロが札束を積み上げる鉄火場として、麻雀漫画や映画ではお馴染みだが、実際に足を踏み入れた人はまずいないだろう。本書は雀ゴロライター・福地誠氏が伝説の鉄火場「マンション麻雀」で、勝ちに挑んだ六年間の記録である。魑魅魍魎のごとき強敵相手に身を削って戦うと同時に、謎のベールに包まれた鉄火場の実態も詳細にリポートしている。
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