『ザ・ノンフィクション』で話題、人気寿司店経営者を直撃。「500万円」を持ち逃げされても“ワケアリ”従業員と向き合い続ける理由
新鮮な素材を活かした江戸前寿司がお手頃価格で味わえるとあって、客足が絶えない人気店になっているのが、東京都内に7店舗を構える寿司店「意気な寿し処阿部」。
先日放送された『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系列)で密着されていたため、ご存じの方も多いかもしれない。阿部浩社長(53歳)は、独自の理念を貫く経営者である。
一般的には“ワケあり”とも思えてしまう個性的な人材を採用し、一人前に育つまで徹底して面倒を見るのが同店のスタイル。ゆえに阿部氏自身の負担が大きく、番組内でも東奔西走する姿が印象に残った。
何気ない言動がハラスメント認定される可能性もある昨今、職場での人間関係は一昔前よりさらに希薄になりつつある。そんな時代に苦労をいとわず、なぜ社員に寄り添い続けるのか。多忙な時間を縫ってくれた阿部氏に伺ってみた。
入社面接といえば、スーツを着て髪型を整えて……と、いわば“当たり障りのない姿”で臨むイメージが強い。
ある時「意気な寿し所阿部」に面接に訪れたのは、パンチパーマのTシャツ、しかも飲食未経験の17歳男性だった。この時点で不採用とみなされても仕方がない。しかし、同店はすぐに採用を決定する。阿部氏はその理由を次のように話す。
「見た目は関係ありません。見ているのは『やる気』です。寿司やうちの店に対してでなくてもいいんです。『金持ちになりたい』とか『成功したい』という強い気持ちを持っているかですね」
技量は入店後に身に着けられるからこそ、やる気は重要なポイントだろう。とはいえ、面接の限られた時間で相手の人間性を見極められるのか。
「いえ、目を見れば2秒でわかりますから簡単ですよ。逆に、『なんとなく』とか『やることがないから』で来た人も顔を見ればすぐにわかるので、判断は難しくありません」
過去に引きこもりの期間があった男性など、“履歴書に空白がある人材”を積極的に採用してきた阿部氏。全店あわせて50人ほどのスタッフが働いている同店だが、問題が起きることはないのか。
「もちろん。『金を貸してください』と言ってきて、貸してやったら持ち逃げされたこともありますよ。一番大きい額で500万円くらいでした」
こうした苦い体験を経ても、「悪いところが目立つ奴にも、必ずいいところがあります。そこを見てやればいいだけですから」と断言する。
前述の引きこもり経験のある従業員が、数ヶ月にわたって無断欠勤を繰り返すようになった時期があった。普通の会社であれば、退職させる方針に舵を切ってしまうかもしれない。だが、阿部氏は一味違う。毎日のようにその従業員の自宅まで出向き、説得に何時間も費やすのだ。時には、マンションの下で数時間待たされることも。
「逃げグセがあるものの、店に来れば一生懸命働くヤツなんですよ。ただ、逃げグセをこれ以上許してしまうと、今後の人生で同じことを繰り返してしまいますから、どうにかしてやりたくて」

意気な寿し処阿部 阿部浩氏
人間性は「2秒でわかる」
「500万円」を持ち逃げされたことも
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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