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子供の“仕上げ磨き”は何歳まで?歯科医が教える子供の虫歯トラブル予防「毎日歯磨きしてるから大丈夫」は危ない

子どもの健やかな成長を願う親にとって、「むし歯」は決して無視できない問題です。毎日欠かさず歯磨きをしているはずなのに、気づけば虫歯ができていた……。「その歯磨きで本当に大丈夫?」と不安になりますよね。
野尻真里

歯科医師の野尻真里

今回は、親がうっかり見逃してしまいがちなむし歯の原因、歯磨きの落とし穴と、今日からできる具体的な予防策について詳しく解説します。

むし歯のリスク、子どもは特に高い!

歯茎が腫れた状態

むし歯が原因で歯茎が腫れて来院した患者さん

乳歯や生えたての永久歯は、大人の歯に比べてエナメル質(歯の表面)が薄く、むし歯菌の出す酸に対して非常に弱い構造をしています。そのため、大人よりもむし歯になりやすく、一度むし歯になると進行も早いため、放置すればたった数ヶ月で痛みや腫れを引き起こすことが多いです。 むし歯予防に重要な歯磨きも、子ども本人任せではうまく磨けず、むし歯のリスクを高めてしまいます。親のサポートが不可欠ですが、親の言うことを聞かないということも少なくありません。

親が見逃しやすい、むし歯の原因とは?

①“仕上げ磨き”の過信
歯垢染め出し液

歯と歯茎の間が歯垢染め出し液に濃く染まっている

子どもが自分で歯を磨く習慣をつけることは大切ですが、自分での歯磨きは、磨き残しが多くなりがちです。親が歯磨きの最後に手伝ってあげる“仕上げ磨き”は、理想は大人の歯が生えそろう12歳まで行うのが理想と言われていますが、実際は自立を促す意味でもその年齢まで行うことは難しいでしょう。 仕上げ磨きは9歳くらいまでを目安にして、その後12歳までは「奥歯までしっかり磨けた?」や「歯医者さんで歯磨き残しがあったよと言われたところも磨けた?」などの声掛けを行ってほしいです。 また、「仕上げ磨き」はさっとなぞるように磨くのでは意味がありません。磨き残しの多い奥歯や、歯と歯茎の境目などを重点的に磨いてください。 ②甘い飲み物やおやつの頻度が多すぎる
歯の表面

スポーツドリンクの頻回摂取で歯の表面が溶けだし、不自然に白くなっている

砂糖を含む飲食物を摂取するたびに、お口の中のむし歯菌が酸を作り出し歯を溶かします。 ジュースやスポーツドリンク、グミやスナック菓子などの「ちょこちょこ食べ」は、歯が酸にさらされる時間を長くし、むし歯のリスクを高める原因となるのです。おやつやジュースは親が量と時間を決めてあげて下さい。また、食べたら歯磨きを心掛け、出来ない時はお水でうがいを行いましょう。 ③歯磨きのタイミング 食べたら歯磨きを心掛けてほしいのですが、特に夜寝る前の歯磨きは重要です。夜は唾液の分泌が減少し、お口の中の細菌が洗い流されません。そのため、細菌が繁殖しやすい夜寝る前の歯磨きを怠るとむし歯が進行しやすくなります。 ④歯ブラシの選び方・使い方の誤り 子ども用の歯ブラシを選ぶ際、ヘッドの大きさや毛の硬さに注意が必要です。大きすぎるブラシは奥まで届かず、硬すぎる毛は歯茎を傷つけてしまうことも。また、歯ブラシの交換を怠ると、毛先がしっかりと歯面に当たらず磨き残しが増えてしまいます。2週間に一度は歯ブラシの確認をしてみて下さい。 ⑤歯磨き粉(フッ素)の活用不足
改善

フッ素の活用と歯磨きの徹底で白い初期むし歯に少し改善がみられた

フッ素は歯質を強化し、むし歯を予防する力がありますが、十分に活用できていない家庭が少なくありません。 濃度や使用法を間違えたら怖いという声も聞かれます。年齢に応じた正しいフッ素入り歯磨き粉を選ぶ、定期的に歯科医院でフッ素塗布を受けるといった工夫が大切です。 ⑥「むし歯は乳歯だけの問題」という思い込み
むし歯

乳歯の多くがむし歯になっている

乳歯のむし歯を軽視してしまうのは危険です。乳歯のむし歯が原因で、将来的な永久歯の歯並びや健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。 また、幼少期でのむし歯治療経験が“歯医者は怖い”と印象付けてしまう可能性もあります。
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正しい歯磨きの方法
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一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari

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