タイの日本式居酒屋は“客単価1万円”の衝撃…日本より高くなった意外なモノとは。「東南アジア旅行の“割安感”」は幻想?
海外旅行が身近だったコロナ以前から比べると、特に円安の昨今はアメリカやヨーロッパ旅行はそれなりの予算を組む必要がある。「東南アジアは物価が安い」というイメージを持つ人は今も多いかと思う。たしかに欧米と比べればたいがいは安い。
とはいえ、東南アジアも一部の場面では日本よりも物価が高いケースが増えた。円安に関係なく、昔から日本より高い価格設定もある。日本人に人気の渡航先のひとつタイも物価が上がっており、観光でも長期滞在でも割安感を持てないシーンもしばしば。そんなタイにおける日本よりも価格帯が高いものをいくつかピックアップしてみた。
日本人のタイ観光では、どうしても円安の悪影響をどの場面でも感じることになる。絶対的に必要な宿泊費や食費は間違いない。宿泊はシーズンやクラスによって大きく異なるし、安宿を選べば今も十分に低予算は可能だ。高級ホテルは、バーツ建て料金は以前とさほど変わっていないはずだが、結局ここで円・バーツの為替レートが強く影響してくる。
仮に1泊2000バーツだとすると、2025年8月のレートではおおむね9000円。この月の平均は1万円が2150バーツ程度の為替のためだ。在住者にもよるが、長期滞在者は大雑把に1バーツを5円と計算するので、2000バーツはほぼ1万円といえる。
これがパンデミック以前であれば1バーツを3.5円くらいで計算していたので、2000バーツは7000円程度。円安というだけで自動的に3000円も値上がりしているわけだ。
さらに、タイ国内の物価上昇もじんわりとインパクトを与えてきて、食費も自然と高くつく。たとえば屋台の平均価格帯で見ると、米粉麺クイッティアオの場合、2000年代初頭は25バーツ程度が普通だったところ、徐々に上がってきてパンデミック前後には50バーツ、2025年に入ってからは60バーツでも驚かないくらいになった。2000年代初頭は1バーツ3円という感覚だったので当時75円レベルだったものが、現在は300円。日本円でタイ観光を楽しむ人にとってはかなり強烈な体感になる。
この為替感覚を踏まえると、逆に以前高級な部類に入っていたレストランが身近に感じる。
かつてのタイはエアコンがついているレストランは高く、ノン・エアコン店は各メニューが安かった。この差が縮まって、高級店にも入りやすくなったともいえるのだ。
中でも日本料理はその中のひとつといえる。2000年代初頭はまともな日本料理店がそもそも少なく、ちゃんとした店は、日本でいうなら高級料亭並みの高さだった。変な店でもタイ料理屋台の数十倍は飲食費がかかったものだ。
2010年ごろからタイは日本料理ブームになり、日本の有名店が多数、バンコクを中心に進出してきた。有名店はその際に日本とほぼ同じ価格設定か、タイでは高級路線にしていることが多い。日本式ラーメンが、かつて平均的に120バーツ前後だったところ、新規進出の有名店は250バーツ以上の設定にしている。
とはいえ、2010年ごろの進出の場合、当時のレートでは日本とほぼ同じかちょっと高いだけ。ところが、今となっては有名店のバンコク支店は安くても1500円はくだらない感覚になっている。タイ料理の平均が高くなっているので以前ほど抵抗感はないものの、実質的には日本より高い。
日本の定食チェーンで有名な「大戸屋」は完全に日本と同じ味を再現している。日本料理ブーム以前にバンコクへ進出しているので、当時は価格も日本と大きく変わらず、在住日本人に歓迎された。それがやはり円安の影響で、まったく同じメニューでも今は差が小さいもので日本より数百円は高い。
飲食関係ではアルコールも物価指数的にタイは高い。近隣諸国と比較しても、ビールがとにかく高い。これは酒税の設定が高いからということらしいが、バンコクで生ビールを飲むと、いわゆる中ジョッキが安めでも100バーツくらい、500円はしてしまう。日本の大衆ウイスキーの代表格「サントリー角」も小売店でさえ4000円超という設定だ。
タイと日本では気候も違うので、場合によっては輸入食材に頼らざるをえない。かつアルコールも高い。そのため、ここのところの在住日本人はみな「日本国内の居酒屋は安い!」と心から思っている。日本はメニューも豊富でおいしいのに安い。タイの日本式居酒屋でワイワイ飲み食いすると、平均的にひとり7000円から1万円はかかるので、タイで日本料理はなかなかの散財ポイントになってしまう。

※写真はイメージです
宿泊費・食費に対する円安インパクトはかなり大きい
日本料理は間違いなく日本が一番安い!

日本料理ブームのタイでは刺身も人気で、ウニは1箱8000円くらいする
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髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中
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