並ぶだけで「4時間1万円」の報酬…“転売ヤー”が暗躍し続ける背景に「中国の転売組織」の存在。企業が“利用する”事例も
近年、転売関連のニュースをよく耳にするようになった。
直近では11月21日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが、初代プレイステーションの発売から30年を記念して、PS5の特別モデルを12,300台限定で発売した。価格は168,980円と高額ながら、たちまち商品は売り切れた。
しかし、購入者の一定数は転売ヤーと見られている。事実、メルカリでは、本体が60万~70万円の高値で売り捌かれていた。
販売側のソニーも、予約応募や購入条件として、
・日本で登録されたソニーアカウントでPlayStation Networkをご利用の方
・ご応募するソニーアカウントでサインインした状態で、2014年2月22日(土)から2024年9月19日(木)23:59までの期間に、PS5とPS4いずれかまたは双方の起動時間が合計30時間以上あること
・ご応募するソニーアカウントがMy Sony IDとサインインID共通化されていること
と厳しく制限を設けていたものの、転売ヤーを封じることはできなかったようだ。
また、11月初頭には、ハローキティの誕生50周年を記念した展覧会が開催され、限定品に群がる転売ヤーが殺到したことも記憶に新しい。
昨今、これだけ転売ヤーが跋扈するのはなぜか。『転売ヤー 闇の経済学』(新潮社)を上梓したフリーライターの奥窪優木氏が解説する。
「転売ヤーが跋扈する背景には、中国の転売組織の暗躍が挙げられます。彼らは、日本の高く捌けそうな商材を大量に買い漁り、関税法を掻い潜りながら、本土に転売する集団です。
厳しい購入制限がある中で、大量に商品を購入できるのはなぜか。それはLINEのオープンチャットを通じて、“取っ払いの日雇いバイト”と詐称して、商材を買い付ける『買い子』や、店頭に並ぶ『並び屋』を募っているからです。
日雇いバイトに応募したSさんに聞けば、転売組織は店舗近くの駐車場に車を停め、応募者は駐車場まで指定の商品を運ぶよう指示される。一連の任務が完了すると、購入代金に1万円を上乗せした報酬がその場で渡されるそうです。Sさんと同じような買い子は、列を成して駐車場に待機しており、すぐにトランクは商材でパンパンになったとか。
また、買い子や並び屋を募集して転売組織に派遣する『人材業者』も存在します。そうした業者は、転売組織だけでなくさらに犯罪性の高い組織とも繋がっています。彼らのもとで買い子や並び屋の仕事を何度かこなすと、『もっと儲かる仕事あるよ』とスマホ契約や銀行口座解説の名義貸しといった、いわゆる“闇バイト”への参加に誘われることもあるようです。
中国人の転売集団は、表向きは貿易会社として登記していますが、内情はかなりグレーです。いわゆる犯罪集団が、犯行を指示する『指示役』、人員を集める『リクルーター』、犯行を行う『出し子』や『タタキ』といった階層に分かれているように、転売集団も構造が分かれているのです」(奥窪優木氏、以下同じ)
厳しい購入制限を実施するも…
買い子を“闇バイト”に勧誘するケースも
1995年生まれ。大学卒業後、競馬会社の編集部に半年ほど勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・散歩・読書・競馬
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