不安な時ほど、解決につながらない「ぐるぐる思考」に陥っていないか? 精神科医が解説する「不安の正しい対処法」
自分なりに気合を入れた仕事で思うように結果が出なかった、大切な人との辛い別れを経験した……。人生において、公私ともに「不安」という感情を避けて通ることはできない。多くの不安はやり過ごせば収まっていくものだが、なかなか沈静化しない場合はどうすれば良いのだろうか。
精神科医であり、一般社団法人認知行動療法研修開発センターで理事長を務める大野裕氏は、不安とは「危険が迫っている可能性があることを知らせるこころのアラーム」であり、不安な気持ちになった時は、自分自身の気持ちに寄り添って「正しく恐れる」ことが必要だと指摘する。
(本記事は『マンガ ネコでもできる! 認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?! に変わる本』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋し、再編集したものです)
不安なときの心の整え方について説明します。うつと同じで、不安も自然なこころの反応、自分を守るために必要なこころのセンサーです。ですから、不安のセンサーが鳴ったときにも慌てずに、「なにか危険なことがあるかもしれない」「そうしたときに不安な気もちになるのは自然なことなんだ」と考えて、自分の気もちに寄り添うようにしてください。
もちろん本当に危険なときには、自分の身を守る必要があります。その一方で、不安を強く感じすぎているときには、軌道修正をする必要があります。不安を強く感じすぎているときには、危険性を実際以上に大きく判断したり、自分の力やまわりからの手助けを小さく考えすぎていたりする可能性があります。そうすると、不安が強くなりすぎて、必要がないのに逃げ出そうとしてしまったりします。
不安でつらくなったときには、ちょっと立ち止まって、こころのなかを振り返ってみてください。そして、自分がきちんと危険を評価しているかどうかを確認してください。危険を過小評価するということではなく、かといって過大評価して恐れすぎることもない。的確に判断をすることが、こうしたときは必要になってきます。
そのときに、緊張しすぎると力が入ってうまくこころの力を発揮できなくなります。リラックスするようにしてください。こころを落ち着けていまに目を向け、自分にやさしく、そしてまわりの人にも気配りをするマインドフルネスのこころの状態が役に立ちます。
次に、的確に判断するためのポイントをお伝えします。
まず、正確な情報を集めましょう。危険かもしれないと感じると、自分の身を守るために危険を示唆する情報に目を向けてしまいます。大丈夫かな、危なくないかな、そういう目で見ていると、危ないほうに目が向いてしまいます。そうすると、危険が現実以上に大きく見えてしまう可能性が高くなります。このようなときは、いい情報、よくない情報をバランスよく適切にとり入れるようにしてください。
次に大事になるのが、ポイントの2つめ、可能性と確率の区別です。これはリスク管理でも大事だと言われていることです。どんなことでも、この世のなか、完全に安全ということはありません。いつなにが起こるかわかりません。
だからと言って、その可能性があったとしても、確率が高いか低いかはまた別問題です。可能性があるということと、確率が高いということは違います。
ここでもう1つ気をつけたいのは、心配していることが起きたときの影響の大きさです。それが起きても、たいへんなことにならず対処できるようであれば、そんなに心配しなくてもすみます。このように考えると、不安は軽くなってきます。
もちろん、このときに1人でがんばりすぎないことも大事です。わたしたち1人ひとりの力というのは限られています。お互いに助け合いながら力を発揮できれば、危険に思えたことにも適切に対処できるようになります。まわりの人の力も借りながら問題に対処していくと、自分の本来の力を十分に発揮できるようになります。
不安なときほど立ち止まって、こころのなかを振り返ろう
不安なときの心の整え方について説明します。うつと同じで、不安も自然なこころの反応、自分を守るために必要なこころのセンサーです。ですから、不安のセンサーが鳴ったときにも慌てずに、「なにか危険なことがあるかもしれない」「そうしたときに不安な気もちになるのは自然なことなんだ」と考えて、自分の気もちに寄り添うようにしてください。
もちろん本当に危険なときには、自分の身を守る必要があります。その一方で、不安を強く感じすぎているときには、軌道修正をする必要があります。不安を強く感じすぎているときには、危険性を実際以上に大きく判断したり、自分の力やまわりからの手助けを小さく考えすぎていたりする可能性があります。そうすると、不安が強くなりすぎて、必要がないのに逃げ出そうとしてしまったりします。
不安でつらくなったときには、ちょっと立ち止まって、こころのなかを振り返ってみてください。そして、自分がきちんと危険を評価しているかどうかを確認してください。危険を過小評価するということではなく、かといって過大評価して恐れすぎることもない。的確に判断をすることが、こうしたときは必要になってきます。
そのときに、緊張しすぎると力が入ってうまくこころの力を発揮できなくなります。リラックスするようにしてください。こころを落ち着けていまに目を向け、自分にやさしく、そしてまわりの人にも気配りをするマインドフルネスのこころの状態が役に立ちます。
「可能性」と「確率」を区別できているか?
1
2
精神科医。1950年、愛媛県生まれ。1978年、慶応義塾大学医学部卒業と同時に、同大学の精神神経学教室に入室。その後、コーネル大学医学部、ペンシルベニア大学医学部への留学を経て、慶応義塾大学教授(保健管理センター)を務めた後、2011年6月より、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法研修開発センター理事長、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表、長崎大学客員教授。Academic of Cognitive Therapyの設立フェローで公認スーパーバイザーであり、ベック認知行動療法国際アドバイザー、日本認知療法・認知行動療法学会理事長、日本ストレス学会理事長、日本ポジティブサイコロジー医学会理事長を歴任。
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
月収9万円で家賃4万2000円…それでも「今のところから抜け出せない」“住居貧困”に陥った60歳男性の孤独
不安な時ほど、解決につながらない「ぐるぐる思考」に陥っていないか? 精神科医が解説する「不安の正しい対処法」
年収300万円54歳が語る、切実な婚活事情「底辺のままで人生を終えたくない。せめてちょっとした恋愛くらいは…」
「イライラや落ち込みが激しくなった」54歳男性が診断された“うつ病ではない”病気の正体
大手自動車メーカーを早期退職した54歳男性の後悔。年収900万円は転職で激減「家にも居場所ない」
妻が密かに怯えている“夫の口臭問題”。歯科医が教えるオーラルケア4か条
「ショート動画依存」で脳が壊れる。記憶力、思考力、決断力が低下してもやめられない…最も危険なネットコンテンツの罠
「スマホを使うことが高齢者の認知症予防に」脳神経内科医が語る“スマホが意欲を引き出す”仕組み
「約20年にわたり薬物を使用し続けた」元ヤクザ組長の娘が、逮捕を経て依存から脱するまで「生きてるだけで幸せなことがたくさんある」
脳汁は出るが体は壊れる…“ドカ食い気絶”の真実「麻薬よりも厄介な存在かもしれません」




