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善意でカウンセリングを勧めたらパワハラに?部下を追いつめる“上司のNG行動”「心に踏み込む順番を守りましょう」

3月は「自殺対策強化月間」に指定されている。 年度末というこの時期は、公私ともに環境変化が重なり、本人が気づかないうちにストレスが積み上がっていく。 前編では、そうしたストレスがどのように心身に現れ、どんなサインを経て休職に至るのかを見てきた。 では、部下を持つ立場の人間は何ができるのか。「様子がおかしい」と気づいたとき、上司としてどう声をかければいいのか。 多くの人が「何かしてあげたい」と思うだろう。しかし産業医の大室正志氏は、その善意が必ずしも相手のためになるとは限らないと指摘する。
善意のケアが逆効果になる瞬間

※画像はイメージです

善意のケアが逆効果になる瞬間

どういうことか。過去に外資系企業で、こんな事例があったという。 部下の様子を心配した上司が、カウンセリングの案内パンフレットを渡した。アメリカでは「よく気がつく、いい上司」と評価される行動だ。 しかし、日本人の部下は深く傷ついてしまった。 「『自分は病んでいると思われている』『評価が下がったのではないか』と受け取ってしまったんです」 このすれ違いは、個人の性格の問題ではない。文化の違いによるものだ。 「教科書的には、早期発見・早期ケアが正解です。でも、日本の職場では、人間関係ができていない状態で踏み込むと、心を閉ざしてしまうケースがとても多いんです」 さらに、日本特有のハイコンテクストなコミュニケーションも影響する。 「『大丈夫?』と聞かれれば、『大丈夫です』と答える。でも、それは本当に大丈夫という意味ではないことも多い。言葉そのものより、文脈を読まないといけないんです」 配慮のつもりで仕事を減らすことも、別のリスクを生む。 「『これ、やらなくていいよ』と言われて、『助かった』ではなく『見切られた』と感じてしまう人もいます。言い方ひとつで、プライドを深く傷つけてしまうのです」 つまり、労務リスクを避けるための対応と、人としてのケアは、必ずしも一致しない。大室氏が現場で最も重視しているのは、「メンツへの配慮」だという。 「心に土足で踏み込まれたと感じた瞬間、人は心を閉ざします。ケアは大事ですが、それ以上にメンツを傷つけないことが重要なんです」

それでも踏み込むための「3つの段階」

多くの上司が悩むのは、「何もしないわけにはいかないが、下手に踏み込むのも怖い」という点だろう。 メンタルの話題は、一歩間違えれば評価やハラスメントに直結する。だからこそ、「正しい言葉を探す」よりも、「踏み込む順番を間違えない」ことが重要になる。 大室氏が勧めるのは、あくまで段階的に距離を縮めていく方法だ。 ステップ1:休日の過ごし方を聞く 「いきなり『うつ病なんじゃないか』と踏み込まないことです。まずは『最近、休日どうしてる?』という雑談から入ります。 ここで趣味を楽しんでいたり、充実した過ごし方をしていれば問題ありません。 気にするべきは、『ずっと寝てる』といった答えが返ってきた場合です。そこではじめて『じゃあ、結構疲れてるのかもね』と一歩踏み込む態勢に入ります」 逆に言えば、ここを飛ばしてしまうと、会話は一気に重くなる。いきなり「最近、元気なさそうだけど大丈夫?」と切り出すと、多くの部下は身構えてしまうのだ。 「観察されている」「問題視されている」と感じた瞬間、人は本音を引っ込める。雑談は遠回りに見えて、実は一番安全な入り口なのだ。 ステップ2:体調を聞く 次に聞くのが、体の不調だ。 「『最近、きちんと寝れてる?』『頭痛などはない?』といった体調を話題にします。 特に男性は、『心の問題』と言われると、弱さを突きつけられたように感じやすい傾向にありますが、体調の話なら答えやすいんです」 メンタル不調から来るものでも、一足飛びに「メンタル」とは言わない。体のパーツに分けて聞くことで、相手のメンツを守りながら状態を把握できる。 ステップ3:仕事の話に入る 最後に聞くのが、仕事の話題だ。ネックになっているのは、仕事量なのか、質なのか、人間関係なのか。上司が調整できる部分があれば調整し、難しければ産業医につなぐ。 ただし、プライベートへの踏み込みには注意が必要だ。 「踏み込みすぎると、今度はハラスメントになる可能性があります。『どこまで聞いていいか』を知っておくことも、上司の役割です」
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人事異動の季節に起きやすい、もう一つの危険
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東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa
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