マニュアルどおりの処方をすることも、本人が希望したからといって、そのすべてをお聞きするのも、いいとは限りません。
そして、多くの人が悩むのが、高齢になった家族が口からものを食べなくなったときです。担当医からオプションサービスを提案されるように、こう聞かれるでしょう。
① 鼻から胃管を入れますか?
② 胃瘻ろうしますか?
③ 点滴しますか?
自然死に近い形を望んでいた知人が、それらを断ったとき「それじゃ、餓死しますよ!」としかられたそうです。
まだまだ医者のなかに、こういう意識の人が多いようです。
人間は食べないから死ぬのではなく、死ぬ前だから食べられなくなっているということです。
こういった根本的なことを忘れて、マニュアルどおりに、ただ栄養を入れ続ければ、患者さんの苦痛にこそなれ、安らかな死を迎えることはできません。
点滴による水分補給も、本来は不要なのです。胃瘻というのはお腹に小さな穴をあけて、胃に栄養を直接入れる処置です。
本来は、一時的に口から食べられなくなった患者さんにするものですが、今の日本では、回復の見込みのない人にまでするようになっています。
私は、重い認知症の人や、寝たきりで動けず意思表明もままならない人に胃瘻をおこなうのは、適応を外れていると思います。