お金

2025年の自己破産件数は「12年ぶりの高水準」…“寂しさ”から借金地獄に陥る人が増えている理由

投げ銭で推しを応援したい、整形して彼氏に褒められたい、オンラインゲームの友人と仲良くなりたい――。そんな切実な願いが、借金地獄への入り口になることがある。“心の隙間”を埋めようとした代償は、想像以上に残酷だ。借金の負い目がさらなる孤独を生み、その孤独がまた散財を呼ぶ。負の連鎖にのみ込まれた当事者たちの姿に迫った。

自己破産件数が「12年ぶりの高水準」

[孤独破産]の罠

写真はイメージ

個人の自己破産が増えている――。最新の「司法統計」によれば、昨年の自己破産件数は「12年ぶりの高水準」といわれた’24年をさらに約20%上回る9万1727件。自己破産を選択する人が増えるにつれて、その顔ぶれにはある変化が起こっているという。 生活困窮者を支援し、多くの多重債務者の相談を受けるNPO法人ほっとプラス理事の藤田孝典氏は、実情を次のように明かした。 「コロナ禍以降、推し活やライブ配信の投げ銭、ソーシャルゲームの課金などで借金を抱えて相談に訪れ、その後、自己破産に至る人が増えています。特徴的なのは、相談者の大多数が家族関係や友人関係が悪く、社会的に孤立していること。コロナ禍で新しい形の自己破産が増えたのも、人と会えずに孤独が深まり、ライブ配信やソシャゲへの依存が強まったからでしょう」 実際に内閣府の調査によれば、30歳から59歳の約半数が孤独を感じていると回答している。そして、破産するほど借金してしまうのも、社会的孤立と無関係ではない。藤田氏が続ける。 「例えば、ソシャゲで20万円課金しても、『バカなことはやめろ!』と注意してくれる友人がおらず、破産する前の歯止めがかからないのです」 [孤独破産]の罠

自己破産に至る人はほかにも…

この孤独に起因する新しいタイプの自己破産に至る人はほかにもいる。自己破産した人を数多く取材するフリーランスのライター・永峰英太郎氏は、こう明かす。 「私が出会ったケースでは、ママ友とマウント合戦になり、ブランド品や高級レストランなどで散財して破産した人がいた。また、親が亡くなり、実家で飼っていた7匹のネコを引き受け、自分の家のネコと合わせて計9匹を飼うことになり、餌代や医療費がかさんで自己破産した人もいる。昔は今で言うママ友など存在しなかったし、ペットと人の距離も今ほど密ではなかった。これらは現代社会を反映した形の破産と言っていい」 ママ友と競い合うことからはコミュニティへの依存、ネコの多頭飼いからはペットへの依存という側面が垣間見える。前出の藤田氏が続ける。 「依存から多額の借金をつくり、自己破産というケースは今に始まったことではありません。改正風営法による規制強化の影響で、最盛期に比べれば下火になったホスト依存も、ホストが推し活やライブ配信に取って代わったにすぎず、依存という本質は変わらない。しかも、安易に“リボ払い”を選択することの危険性についてなど、金融教育が全く足りていないので、当然、破産は増えます」
次のページ
キャッシュレス決済は「支払いの痛み」がない
1
2
【関連キーワードから記事を探す】