「15万円の年金と退職金500万円でおだやかな老後を…」75歳のひとり暮らし男性が“老後破産”するまで
2019年に金融庁が公表した「老後2000万円必要」という報告書は、世間に大きな衝撃を与えました。しかし、YouTuber「税理士ナガイ」として活躍する永井圭介氏は著書「おひとりさま時代を生き抜く老後破産しないための年金・貯蓄・相続対策」(かや書房)で、「実際には3000万円以上必要」だと指摘します。
そして、おひとりさまの場合に予期せぬ出費や介護費用を考慮すると、さらに厳しい現実、いわゆる老後破産が待ち受けていることを警告しています。
一体どのような場合に、老後破産してしまうのか……? 実際のケースを見ていきましょう。
(本記事は『おひとりさま時代を生き抜く老後破産しないための年金・貯蓄・相続対策』より一部を抜粋し、再編集したものです)
元会社員(技術職)Aさん(75歳)のケース
Aさんは、小さな町工場の技術職として40年以上同じ会社で働き続け、65歳で無事定年退職を迎えました。給料は決して高くはありませんでしたが、生活は質素で、結婚することはなく、生涯ひとりで生きていくことを考えていました。
定年を迎えたAさんは、退職金として500万円ほど受け取り、退職後は月に約15万円の年金収入がありました。Aさんは持ち家ではなく、賃貸アパートで暮らしていましたが、「贅沢はしないで生活すれば、老後もなんとかなるだろう」と思っていました。退職金も含めた貯蓄を慎重に管理しながら、平穏な老後を過ごしていました。
退職後の最初の数年間は、特に大きな問題もなく生活を続けていたAさんでしたが、70歳を過ぎた頃から健康に問題が生じ始めました。最初は、のどの渇きや軽い倦怠感が気になる程度でしたが、やがて糖尿病を患ってしまい、定期的な通院と治療が必要になりました。医療費がかさむ中、Aさんは貯蓄を少しずつ切り崩しながら生活していましたが、思っていた以上に治療費が増え、年金だけでは生活費や医療費を賄えない状況になってしまいました。

永井圭介氏の著書「おひとりさま時代を生き抜く老後破産しないための年金・貯蓄・相続対策」(かや書房)
15万円の年金で「老後もなんとかなるだろう」と考えていたが…

画像はイメージです(以下同)
慶應義塾大学法学部法律学科卒。税理士・公認会計士。2003年に大手監査法人に入所し、上場会社、上場準備会社の会計監査に従事。2009年7月に永井圭介公認会計士・税理士事務所を設立。中小企業を中心とした、税務・労務関連サービス、経営コンサルティングの他、YouTuber「税理士ナガイ」として税に関する知識をわかりやすく視聴者に解説している。YouTube登録者数は11.5万人。インボイスの解説動画も定期的に投稿しており、関連動画の再生回数は200万回を超える。近著は『世界一わかりやすい! インボイス』(高橋書店)など
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