更新日:2026年07月15日 17:01
ライフ

「女の子を沈めて稼ぐのは“成り下がり”」伝説のNo.1ホストが断じる“売掛と色恋”の異常な構造

―[美島光司]―
ホスト歴30年の美島光司さん(52歳)。かつて歌舞伎町の名門ホストクラブ「愛本店」でNo.1に上り詰め、細木数子さんからも指名を受けた伝説のホストだ。現在は26歳年下の女性と結婚し、弁護士を目指しながら第二の人生を歩んでいる。
美島光司

美島光司さん(52歳)

第1回・第2回では美島さんの半生を振り返ったが、第3回では今のホスト業界に抱く想いを聞いた。 色恋営業や売掛が横行する現代のホストクラブを、伝説のホストはどう見ているのか。(短期集中連載 全3回の3回目)

今のホストクラブは「ホストパブ」

美島光司──昔のホストクラブと今のホストクラブは、どのように違うのですか? 美島光司さん(以下、美島さん):伝統的な「ホストクラブ」というのは、リーゼントをバチッと固めて、ネクタイを締めてダブルのスーツを着るのがスタンダードなんです。ホストは生バンドの演奏に合わせて社交ダンスを踊れないとダメで、飲むお酒もウイスキーのロックがメイン。入場は会員制で、お客様はお金持ちのマダムがほとんどなので、どれだけ店が暇でも女の子をキャッチしに行くような品のない真似は禁止でした。なので、初回来店なんて半年に1回ぐらいしか来ません。 一方で、今のホストは若い女の子をターゲットにして、シャンパンやテキーラを激しく飲む。外でキャッチするのも当たり前です。僕らの時代は、そういった店はホストクラブではなく、「ホストパブ」と呼んでいました。 ──では、ホストパブは比較的新しい業態のお店ということなんでしょうか? 美島さん:いや、僕の時代にもホストパブはありましたね。それこそミナミでホストしてたときは、ひっかけ橋(難波にある戎橋の通称)でホストがよくナンパしてました。体感としては、昔のミナミでもホストクラブは5〜6店舗ぐらいで、あとは若い子向けのパブでしたね。 ──今はホストパブの形態が主流だと思いますが、いつごろからホストパブは増えていったんでしょうか? 美島さん:明確な時期は断言できないんですが、2000年代に城咲仁くんに代表される「ホストブーム」が来て、普通のお客さんがホストクラブに来るのも当たり前になったんです。その辺からホストクラブとホストパブの境目が曖昧になって、伝統的なホストクラブは徐々に消えていきましたね。 ──昔ながらのホストクラブがなくなることは寂しい気持ちもありますが、ホストパブの増加はもはや仕方のないことなんでしょうか? 美島さん:そうですね。現代のホストクラブは売上を増やすことを追及した結果、すべてをシステム化してます。 現在、歌舞伎町のホストクラブは現在5、6つのホストグループの寡占状態で、そのグループの中にはマニュアルや講習がしっかり整備されているところがあります。女の子への接客の仕方はもちろん、いかに女の子をハマらせるか、さらにはお金のない女の子を風俗に落とす方法まで、すべてが体系化されてます。そういった店舗が売上を拡大して、店舗を増やしていくことは資本主義社会では当然の結果ですよね。

ホストクラブの“本当の客”

美島光司──今のホストクラブは、そこまで組織的になっているんですね。 美島さん:ただ、それはイコール、若い女の子が大金を稼がないと成り立たないビジネスでもあるということなんです。だって、普通に生きてる若い子はお金持ってないですから。歌舞伎町を歩いている普通の子を引っ掛けて、色恋で惚れさせて売掛させて、風俗とかAVに落として稼がせる。それを複数の女の子にさせるから、ホスト側は何千万、何億という売上を出せるわけです。 そして、それを何百人、何千人と繰り返すから、ホストグループは年商何百億と巨大化するんです。 ──最近だと風俗やAV以外に、立ちんぼや海外売春をする女の子も増えていますよね。 美島さん:昔のホストクラブじゃ考えられへん光景ですよ。僕の美学として、「ホストと客はつぶし合い」って考えがあるんです。実際、昔は僕も女の子に対して無茶なこともしてきましたよ。だからこそ、自分だけが逃げ切っていい思いをするのは嫌なんです。女の子が落ちるなら、ホストも落ちる。ホストになったんなら、死ぬまでその汚名はつきまとうんです。 でも、今のホストはどうですか? そこら辺の大学生や若い男の子が「稼ごう」と思ってホストを始めて、若い女の子を色恋で惚れさせて、売掛をさせて、金が払えんくなったら風俗や立ちんぼ、海外売春に放り込む。そんで自分はサッと金を稼いで、普通に昼の仕事に就職していく。そんな自分だけが逃げ切って金持ちになるなんて、昔のホストではほとんどいなかったです。 ──特に売掛は悪質な気がします。若い女の子からすれば、「お金なくても遊べる」って思って、気がついたら何百万単位で売掛ができてしまっているわけで。 美島さん:そうですね。でも、これはホスト個人が悪いんじゃなくて、ホストクラブの構造が悪いと思うんです。というのも、女の子の売掛って、担当ホストが連帯保証人になってるんですよ。 ──ということは、回収できなかった売掛は、法的にもホストが支払わなければいけないんですか? 美島さん:はい。基本的にホストクラブはホストを「個人事業主」として業務委託契約を結んでるので。なので、店側は女の子が売掛を飛んだとしても、ホストに払わせるから1ミリもダメージないんですよ。僕の友達のホストも、800万円の売掛を飛ばれて、2年間タダ働きさせられてましたよ。 だから、ホスト個人も追い詰められて、女の子を立ちんぼさせたり海外売春に行かせたりしてでも回収しようとするんです。なので、ホストクラブにとっての本当の客は、実は女の子じゃなくてホスト自身なんですよ。
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色恋と売掛で稼げる理由
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大阪のフリーライター・カメラマン。卓球好きが高じて大阪府立大学在学中に卓球メディア「Rallys」でライター活動をスタート。現在は卓球以外にも大学ミス・ミスターコンの取材を中心に、幅広い分野で執筆活動を行う。X:@takkyu6789、Instagram:@guid_dsij
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