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事業仕分けで採用が取り消されたポストドクター

京都大学の研究チームが「理系卒の平均年収は文系卒よりも約100万円高い」という文系卒のビジネスマンにとってはショックなデータを発表。でも、本当に文系のほうが損なのか? この疑問を解決すべく「自分のほうが損だ」と語る文系、理系双方のビジネスマンを取材した。

理系は損だ!
事業仕分けで採用が取り消されたポスドク
国立O大学大学院・32歳・研究員

年収では、文系よりも有利な理系だが、就いた職種によっては損な場合もある。

「ポスドクほどツブしの利かない理系職はない。30歳過ぎても毎年就職活動をしていますから」

 そう語るのは、国立O大学大学院の研究所でがん細胞の研究をする高杉武明さん(仮名)。’05年に国立大学の博士号を取得後、そのままポストドクター(研究員)になった。

「ポスドクの任期は大体1~3年ぐらい。年収は360万円と理系職にしては薄給なんですが、最初は自分のやりたい研究を続けられることが純粋に嬉しかった。だから、契約更新のたびに任地先が替わっても何とか我慢することができました」

 この5年間で東京→東北→関西の研究所を転々としたという高杉さん。その都度、「ひと部屋を埋め尽くす研究用の本や資料を持って引っ越し」をしていたため、32歳の今も貯金はゼロだという。

 それでも「将来は大学教授になるため」と必死に耐えていたわけだが、国立大学の研究職は国家予算の削減で年々減少傾向に。その少ない席をめぐって、熾烈なポスト争いが繰り広げられている。

「研究職には”35歳の壁”というのがあって、これを越えられずに自殺したり、研究所から失踪したりする人が続出しているんです。それに、自分のポジションを死守したい教授や助手からのパワハラもひどい。研究データを取るのに常識的に考えて2日間は必要なものを『1日で提出しろ』言われたり、教授の娘の送り迎えといった私的な雑用を命令されたり。すでに40歳を超えた先輩ポスドクが『うつ病の発病率は、最高水準だから』と自慢げに言うんですよ……。全然笑えませんね」

 さらに、彼の不幸は続く。来年4月に採用予定だった研究所から採用取り消し通知が届いたのだ。

「今年6月の事業仕分けで予算を縮減されたので、人件費削減で採用枠がなくなったんだそうです。博士号を取って、今まで苦労にも耐えてきたのに……。蓮舫(議員)が憎い!」

“35歳の壁”を前に、無職になりそうな高杉さん。「転職しようにも、どこにも雇ってもらえないでしょうね」と、自身の選んだ道の専門性の高さを嘆く。

― ビジネスマン[文系VS理系]損なのはどっちだ【2】 ―

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