必要なのは理系脳! 年収格差に悩む営業マン
京都大学の研究チームが「理系卒の平均年収は文系卒よりも約100万円高い」という文系卒のビジネスマンにとってはショックなデータを発表。でも、本当に文系のほうが損なのか? この疑問を解決すべく「自分のほうが損だ」と語る文系、理系双方のビジネスマンを取材した。
文系は損だ!
必要なのは理系脳! 年収格差に悩む営業マン
私立K大学・28歳・証券営業
個人客に金融商品を売る証券会社のリテール営業は「人情」や「コミュニケーション能力」が重要視され、証券会社の中でも文系がもっとも輝く部署と言われてきた。
ところが最近、「理系出身者に侵食されつつある」と危機感を募らせるのは、大手証券会社のリテール営業部で働く山口和志さん(仮名)だ。
「長年、体育会系ノリを武器にした文系出身者が、勢いで契約を取っていたんですが、リーマンショック以後は、個人客も金融商品に対する知識を深め、文系出身の営業マンの知識のなさがバレ、勉強熱心な客だとついていけないんですよね。金融商品にはロケット工学なども入っているから、文系出身者の脳では理解できません。それなのに、同じ文系出身の上司からは『顧客には真心。体当たりでいけばなんとかなる!』って、いまだに体育会系のノリ。でも、結局、論理的な説明ができないから、客からバカにされて、営業成果も上げられないんですよ」
高校2年生の数学で脱落し、私立文系に絞った山口さんも、客からの数学的な質問には一切答えられず、困っているとか。
「金融商品を開発するデリバティブ部門は、数学などを勉強してきた理系出身者でないと勤まらない。でも、狭き門なので、そのデリバティブ部門から溢れてリテール営業に配属される理系もいて、そいつが好成績を収めている。会社は『営業にも理系脳が必要』だと考え、今後は理系出身者の営業採用枠を増やすそうです」
そうなると当然、収入面でも理系と文系の間に格差が生まれることに。
「日系企業なので、同期の月収はみな30万円とそれほど差は出ませんが、ボーナスが違う。その同期の理系出身営業マンはいきなりトップ10%に入って半期で200万円ぐらいもらっていました。自分なんて70万円! でも、これが文系出身者の平均なんですよ。デリバティブ部門の同期だと、ボーナスが400万円なんてヤツもいるのに……。同期ならまだしも、今後増えるだろう後輩の理系出身者にも年収で負けると思うとやってられませんよ」
今、山口さんの会社の役員は文系出身者がほとんど。だが、あと数年で理系出身者が入り込むと予測され、理系閥が強くなる見込みだ。
― ビジネスマン[文系VS理系]損なのはどっちだ【1】 ―
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