もし、残念な人が『論語』を読んだら【その2】
「いくら頑張っても、世間から見たらフリーター。
人からは笑われ、将来の不安もあります」
先日、久しぶりに会った友達に開口一番「ライター? まだフリーターやってるんだ」と言われる。不安定は承知の上。好きで始めたライター業である。本来ならば、この仕事の魅力を熱く語るべきだったかもしれない。が、ふがいない私はなにも言い返すことができなかった。しかも、それ以来、「世間様にはフリーライターなんぞフリーター」という思いにとらわれ始め……。正直に言います。僕、将来が不安でたまりません!
「『論語』には、自分の人生の目標を定めようという『誠意』、心を鍛えようという『正心』について説いたものは多いから、そういった悩みに効く言葉は多いよ」と佐久先生。ぜひ、教えてください!
「もしも、『世間が自分を認めてくれない』と腐る気持ちもあるなら、まずは、この言葉だな。『人の己れを知らざることを患えず、己れの能なきを患う』。
簡単に言うと、”出世しないのをグチる前に出世する実力がないことに気づけ”と。そのうえで”世間が少しでも自分を注目するように精進すればいい”とね」
自分に力がないのは認めたくないです……うぅ……。
「似たような言葉で『人の己れを知らざることを患えず、人を知らざることを患う』という言葉もあって、こっちは”他人が自分を認めてくれないと嘆くことが多いが、そもそも自分が他人の才能や長所に気づいてるのか?と。”他人の才能に気づく能力を身に付けなさい。そんな人を世間が放っておくはずがないよ”というわけだ」
なるほど~。確かに相手を認められる人間って、なんか余裕があって器が大きいっぽい。人のいいとこ探しは実践できる、かも。
「さらに厳しく戒めるなら、『士、道に志して、悪衣悪食を恥ずる者は、未だ与に議るに足らず』がいいかな。”自分は清く正しく生きるんだと言いながら、世間のことや、衣服や食事など瑣末なことを恥じるような人とは、語り合う価値はないよ”という言葉だね」
み、耳が痛い。周囲の目を気にするヒマがあったら、ライター道に猪突猛進しろってことですね!
「そう。そうすれば、『子曰わく、徳は孤ならず。必らず鄰あり』ってね。”孤立を恐れるんじゃない。正しいことをしていれば必ず同調者が現れる”というわけだ。一人じゃないと思えば、不安も少しは消えるんじゃないかな」
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