中国【偽マクドナルド】に潜入 メニューは麺類ばかり…
世界中のどこででも目にするおなじみの黄色い「М」の印。しかし、広東省東莞市の路上で見つけたそれは、何かが変。よく見るとМの字をつまむように箸の絵が描かれているではないか……。恐れ多くも世界最大の外食チェーンを模倣した偽マクドナルドに違いない。早速、潜入取材を敢行したのだった。
例の黄色いМ印は、看板だけでなく扉にもあしらわれていた。この扉を開けると、「マクドナルドへようこそ」とでも言うのだろうか……。
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しかし店内へ足を踏み入れると、そこは静寂に包まれていたのだった。いきなりの肩透かしにそのまま突っ立っていると、ポロシャツのおっさんが奥から出てきた。壁に貼られたメニューを指差し、「何にする?」と一言。しかしそこにはハンバーガーやポテトの類は一切なく、坦々麺や炸醤麺などひたすら中華の麺のメニューが並んでいるのだった。
たいして食べたくも無かったが、まったくの思いつきで酸辣粉(辛みそスープのはるさめ麺:値段は12元/約150円)を注文。するとこのおっさんは、そそくさとガラス越しの調理場に向かい、テキパキと作業を始めたのだった。
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どうやらこの店は、おっさん一人で切り盛りしているようだ。客も他にはいない。
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店内に無造作に並べられた安っぽい椅子とテーブルが、かろうじてファーストフード店らしさを留めていたが、これで天下のマクドナルドを装うとは、なかなかの度胸である。
そして待つこと約3分。おっさんは抱えてきた丼を無造作に筆者の前に突き出すと、再び店の奥へと引っ込んでしまった。まさに寡黙な職人といった感じである。
肝心の味はごく平凡な酸辣粉。マズくはないが、特徴に欠ける味だった。
⇒偽マクドナルのはるさめ麺【画像】はコチラ
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黄色いМ字の看板を掲げているせいで、ニセモノと嘲笑されたことも一度や二度ではないだろう。乱暴な客に「ハンバーガーは無いのか?」と詰め寄られたこともあったかもしれない。むしろ黄色いМ字の看板を掲げることで、特にいいことなど何一つないのではないか。それでもその看板を下ろすことなく、麺を供し続ける寡黙な男。もしかすると彼はマクドナルドに象徴される欧米文化や大量消費社会、そして資本主義に、たった一人の戦いを挑んでいるのではないか。大して美味くもない酸辣粉をすすっていると、なんとなくそんな気がしてくるのだった……。
「がんばれ、おっさん」
勘定の際、そう心の中で呟いて店を出ると、バイト募集中の貼り紙が目に入った。さすがに孤独に疲れたか。客の入りを見るにバイトは必要なさそうだが……(笑)。
【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】
ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)
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