なぜ中国人はタクシーの助手席に乗るのか?
日本人には理解不能な出来事が頻発する摩訶不思議の国、中国。今回は、この国の数ある謎のひとつ「なぜ中国人はタクシーに乗る際、助手席に座るのか」という疑問を迫ってみた。
実際、ドラゴンガジェット取材班が深セン市内にあるタクシースタンドで人民たちの乗車行動を観察してみたところ、一人で乗車する場合は、5割以上の確率で助手席に座るという結果が得られた。
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なかには、二人連れであるにもかかわらず、一人は助手席、一人は後部座席と分かれて座るケースもあった。
タクシー利用時に助手席に座る理由について、数人の中国人に聞いてみたものの、「別になんとなく……」「特に理由はない」と明確な回答は得られない。長らくの習慣として根付いている行為について、突然「なぜ?」と聞かれて答えられないのも無理はあるまい。
そこで、中国在住の日本人に聞いてみたところ、ひとつの要因を指摘してくれた。
「日本ではタクシーの後部座席のドアは自動で開閉されるため、乗客は自然と後部座席に座ることになるが、中国ではドアの開閉は手動であるため、後方に座る必然性はないからではないか」(北京市在住・男性)
なるほど。むしろ日本人の方が、無意識に後部座席ばかりに座っているということか。
しかし、それでは半数以上が助手席を選択している理由にはならず、二人連れが助手席と後部座席に分かれて座る理由も説明できない。
別の日本人にも聞いてみたところ、より説得力のある答えが見えてきた。
「中国のタクシー運転手は出稼ぎ者が多いので、とにかく道を知らない。ナビもついていないので、目的地までの道順は、乗客自らが運転手に説明しなければいけないことが多いんです。その場合、助手席にいたほうがやりやすいですから。あと中国人は誰かれかまわず世間話をするのが好きだから、助手席に座って運転手と世間話をしたいという人もいる」(上海市在住・女性)
さらに、北京、上海と比べ、治安が若干悪いとされる広州市に住む日本人男性は、防犯上の理由を指摘する。
「中国では、タクシーに拉致され、身ぐるみはがされたという話も少なくありません。運転席と後部座席の間には、運転手を守る防犯用の鉄格子も設置されており、後部座席に乗ってドアをロックされてしまえば、どこに拉致されようが抵抗できない。また、タクシー運転手が客から金を受け取った際にこっそり偽札とすりかえ、『これ偽札だよ!』とつき返すという詐欺もあるので、支払いの際に運転手の手元が見える助手席にいたほうがいいという理由もある」
実はタクシーを利用するとき、助手席に乗る習慣はタイやドイツ、オーストラリアなど中国以外の国でも多々ある。防犯、コミュニケーションなどさまざまな理由があるようだが、タクシーひとつとっても、お国柄が出るようだ。
【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】
ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)
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