ノイズ音源で妙な気分になる理由
’09年頃に韓国に上陸するや、青少年を中心に大ブームとなった「i-doser」。あまりの流行ぶりに、韓国政府はファイルの削除や「聴くドラッグ」など関連するキーワードの検索禁止など、徹底した取り締まりを実施。安全性が確認されるまでネットで流通できないようにした。その効果を探るべく、記者のO、編集のYに加え、元ジャンキーX氏の協力のもと、各自で“人体実験”を行ってみたが(https://nikkan-spa.jp/293362)、i-doserが脳にもたらす作用とはどんなものなのか?
◆なぜノイズ音源で妙な気分になるのか?
i-doserのような音源はどんなメカニズムで脳に作用しているのか。
脳科学者の篠原菊紀氏は、「解析していないので仮説だが」と前置きしたうえで、こう指摘する。
「周波数自体は脳内麻薬には関係ないと思う。気持ちよさを感じるとしたら、事前情報として、『これをやればこんなに気持ちよくなる』という暗示的なメッセージが与えられている点が大きい。アイマスクで視覚情報を遮断するのも、暗示効果を高めている」
つまり、これはキクらしいという情報を脳があらかじめ知っているので、気持ちよくなりやすいというわけだ。
また、心理学者の竹内龍人氏は、ひとつの音源に複数の異なるノイズが混合されている点に注目する。
「高い周波数だけ、低い周波数だけのようなノイズは、とても聴いていられません。いろいろな種類の音が混ざっているとノイズも聴いているうちに滑らかな音に感じられる。なので、心地いいと感じる人もいるでしょう」
i-doserの気持ちよさをもっとも体感できたのは、やはり元ジャンキーのX氏だった。記者と編集Yは音源に程度の差はあれ、それなりのトリップ感を感じたものの、試聴後は体の倦怠感や頭痛に襲われた。しかしX氏は……。
「連日寝る前に聴いているうちに、多幸感に包まれて熟睡できたね。翌朝もスッキリ。自分に合っているかも(うっとりとした目で)」
あくまで、これはトリップ慣れしている上級者の意見ということをお忘れなく。
【篠原菊紀氏】
諏訪東京理科大共通教育センター教授。東京理科大総合研究機構併任教授。著書に『「しなやか脳」でストレスを消す技術』など多数
【竹内龍人氏】
日本女子大人間社会学部心理学科教授。『だまし絵でわかる脳のしくみ』など、「錯視」や「トリックアート」に関する著書がある
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