ロムニーが勝てば米経済は「財政の崖」に突入!?

マネーな人々 今週の銭格言 【選者】政治経済学者 植草一秀氏 NYダウは節目の1万3300ドルを突破し、’09年以降の株価上昇第四波動に突入した。しかし油断は禁物だ。日中関係悪化が世界経済の停滞をもたらし、米大統領選結果いかんでは’13年に「財政の崖」が本格始動しかねない! ◆接戦続く米国大統領選挙。オバマ勝利で「財政の崖」による不況を回避できるか!?【後編】 ⇒【前編】はこちら  問題は、米国財政政策が’13年に強度の景気抑制効果を発揮するかもしれないということだ。  米国議会予算局(CBO)は8月22日に’13年の経済見通しを発表した。これによると、’12年を2.1%とする実質GDP成長率が’13年には-0.5%にダウン。米国経済が不況に突入する予測を示したのである。  その最大の理由は、緊縮財政政策にある。議会予算局は’12年度1兆1280億ドルに膨れ上がった財政赤字が’13年度には6410億ドルに減少するとの見通しを発表。つまり、この財政赤字の大幅減少は、米国が超緊縮財政の道に進むことを示している。  ’11年夏、米国国債発行残高が法定上限に迫った。これを引き上げて国債発行を可能にするため、日本同様のねじれ国会下で、オバマは野党共和党の要求を呑むことになった。その際、約束させられたのが’13年からの超緊縮財政だ。  ’13年の年初からは減税失効や歳出の自動削減開始などの緊縮財政政策が強制されることになる。これを「財政の崖」と呼ぶが、米国経済がこの崖から転落し、不況に陥る可能性がある。  ロムニーが勝利すると、この方針が堅持されると見られる。その一方で、オバマが再選を果たせば、財政の崖を緩和する策が採られるだろう。  日中関係冷却化の長期化と米国の財政デフレという2つの爆弾を抱える世界経済。大きなリスクを回避できるか正念場に差しかかる。 【今週の数字】 ’13年の米国実質GDP成長率見通しり -0.5% 米国議会予算局(CBO)は8月に実質GDP成長率を発表し、今後の経済見通しを改定した。既定路線通りに’13年に緊縮財政が実施されれば、’13年の米国実質成長率は−0.5%まで転落するとされている
CBO

「財政の崖」で緊縮財政の道に進むかどうかで、米国財政経済の見通しは大きく変わってくる。「財政の崖」を迎えれば、対GDP比の財政収支は改善されるものの、成長率の鈍化は避けられない

【植草一秀氏】 シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。著書に『消費増税亡国論』(飛鳥新社)
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