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仏大統領選は「左右」ではなく「上下」の戦いである――ルペンとマクロン決選投票を在仏ジャーナリストが分析

第1回投票の結果を受けて支援者に手を振るマリーヌ・ルペン氏

史上稀に見る大激戦となった大統領選


 フランス大統領選挙の第一次投票が終わった。これから2週間、中道左派のエマニュエル・マクロン(前進!)対極右のマリーヌ・ルペン(国民戦線)の一騎打ちが展開される。

 史上稀に見る大激戦となった今回の選挙だったが、じつは、1年前はまったくの無風であった。オランド大統領のあまりの不人気に、所属政党の社会党に目はなく、世論調査では右派の有力候補ジュペ元首相が第1回投票では35%で第2位ルペン氏(27%)を大きく離し、決選投票でも65%で圧勝であった。

 ジュぺ氏はシラク元大統領の後継者と自他共に認められていたが、シラク氏のパリ市長時代のスキャンダルを当時の副市長として一身にかぶって立候補できず、ようやく復活したベテランである。いわばサルコジ元大統領のアンチテーゼで中道派から社会党右派まで引き込む力があった。

 ところが、昨年11月の右派の予備選で当選したのは、3番手と見られていたフィヨン氏であった。

フィヨンはいかにして有力候補になったか?


 アメリカと違って、フランスには本来予備選はない。そもそもいま共和党と訳されている「ラ・レピュブリカン」は正確には政党連合であるが、このように左右の2勢力に分かれるものの、それぞれの陣営にはいくつもの党があり、そこから第1回投票に出るのが通例であった。それを、サルコジ元大統領が中道候補を第1回投票から排除するために、右派(当時はRPR)と中道勢力を統合した予備選を’11年に創設したものである。

 フィヨン氏は、エゴの塊のサルコジ大統領の下で首相として5年間耐えたイメージもあり、ジュぺ氏ほどではないものの、優勢は揺るがなかった。ところが、1月24日、夫人を架空の秘書にした公金着服容疑がでた。

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フランス人は個人蓄財にはうるさい

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