ブスを自称するアイドル・栗山夢衣(恵比寿マスカッツ)インタビュー【後編】

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栗山夢衣

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 他人に何と言われようと「自分はブスだ」と言い張る恵比寿マスカッツの栗山夢衣さん。こちらがどうなだめようと、その“ブスアイデンティティ”は動かざること山の如しだった。自称ブスの彼女は、なぜ人前に出て容姿を売りにする(はずの)アイドルの仕事をしているのだろうか。 栗山「やーっもう本当はアイドルと名乗るのもおこがましいくらいなんですよ! 本当すいません。今は顔が抜群にかわいくなくてもアイドルを名乗れる時代になったと思うんですけど、例えばブスキャラで売ってるAKBの指原さんだってあれは“ビジネスブス”だと思いますもん。全然ブスじゃない。私よりブスなコって芸能界にいないと思うんです……」 ――それなら、なぜアイドルに? 栗山「もともと小倉優子さんのおっかけをしていたのもあり、アイドルへの憧れはあって、そんなときに偶然、地下アイドルをやっている人に出会って、私も地下アイドルをやらせてもらうようになりました。それまではアイドルは天使みたいにかわいいコしかなれないと思っていたんですが、いざフタをあけてみたらビックリ。私よりブスな人はたくさんいましたし、とんでもなく太った人も、40代の人もいた。でも、そういう人たちがステージで“アイドル”をやると、不思議とかわいく見えるんですよね」 ――あ、「自分よりもブスな人がいる」と思うことはあるんですね? 栗山「あ、はい、さすがに自分が世界で一番ブスとまでは思ってないです。だけど……、やっぱり地下アイドル界と芸能界は全然違います。地下アイドルの世界は何でもありで、アイドルなのになぜかシフト制だったり、妊娠したからと産休したり、とか。ありえないほど太っていても痩せる努力も何もしないユルい世界でした。そんななかで、一応私はまだ若かったし、努力していたのでグループの中でも人気があって……一生懸命やってるコにはファンがつくんですよ、地下アイドル界って。それで調子に乗って事務所に入っちゃいました。でもDVDを出して完成品を見てみると、やっぱりブスで!」 ――そこでもう芸能界をやめたい、とは思わなかった? 栗山「TVには出たいんです。TVには出たいのに、顔は出したくないというジレンマがあって、そこで思いついたのが『セルフ亀甲縛り』や『ゴム手袋鼻息割り』。亀甲縛りは縄に目がいくし、ゴム手袋を頭にかぶれば顔は隠れるので、この特技を披露すれば顔に注目されずに済むぞ、と」 栗山夢衣――地味にそこそこ目立ちたい、といった感じなのでしょうか? 栗山「そうかもしれません。地下アイドル時代に、AKBさんのオーディションがあって、受けてみないか?と言われもしたのですが、10人くらいの規模の地下アイドルグループの中で一番人気という状態が心地よかった。だから、大所帯のグループだと埋もれちゃう、と思って受けませんでしたし」 ――それだと、地下アイドルのままでいたほうが幸せだったかもしれないですね……。 栗山「そうなんですけど……、芸能人がみんなポジティブだったら一般の人が感情移入しにくいですし、このネガティブさを活かして、視聴者に一番近い立場のタレントとしてやっていければいいなと思います。ブスだけどアイドルになれるんですよ!」  取材中、一貫して自らをブスブス言い続けた栗山さんは、さらに追い打ちをかけるようにトドメの一言を放った。「前にオンエア見てたら、私ってば無意識に頭を掻いてしかも爪に詰まった垢を見てたんですよ! それについてイジられるとかでもなんでもなく、ひな壇に座ってボーっと垢を見てるだけ。この行動、本当にブス!」(栗山)。正統派アイドルの定義からしたら、“爪の垢”は“ブスな行動”なのかもしれないが、爪の垢を見てしまうのはきっと、一般人のほとんどにとって身に覚えのある行動だろう。この一言で、夢衣ちゃんにグッと親近感が湧いたのだった。「アイドルはトイレに行かない」の真逆をこのままひた走ってほしい。 【栗山夢衣】 タレント・アイドル。恵比寿マスカッツのメンバー。毎週土曜日25:35~「おねだりマスカットSP!」(テレビ東京)にレギュラー出演中 <取材/大貫未来(清談社) 取材・文/朝井麻由美> ― ブスを自称するアイドル・栗山夢衣インタビュー【2】 ―
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