最高の“さくら水産ランチ”を求めるサラリーマンの悲哀
―[サラリーマンのデフレランチを拝見]―
デフレ時代のデフレランチ。行きすぎた節約志向の結晶か? はたまた追い込まれた末に期せずして発揮されたタフな適応能力か? さまざまな状況下のもと至るところまで至ってしまった独自のデフレランチのスタイルを持つ人たちのもとを訪ねた
◆最高の“さくら水産ランチ”を求めて今日も周遊
早川真二さん(仮名・36歳)
「デキ婚して、家買って、転職して、不景気で給料下がって……となって、行きついた昼飯が居酒屋『さくら水産』のランチ。会社の近くに何店舗かあるし、なんといっても500円ですからねえ」と笑って語るのは、都心のインテリア系の会社に勤める早川さん。さくら水産の魅力は、その値段でご飯・味噌汁・漬物・生卵・海苔が食べ放題なところなのだとか。
「HPで全店共通の『今週のランチメニュー』が公開されているんで、仕事の合間にチェックします。好きな刺し身だと『やった!』って感じですね。逆に嫌いな煮魚の場合は、早めに昼休みを取って、なぜか独自メニューでランチをやっている、ちょっと会社から遠いさくら水産に行きます。どっちにしても、さくら水産(笑)」
共働きなので妻からの弁当は期待できず、料理ができないため弁当男子にもなれない早川さん。激安ランチは削られた小遣いをやりくりするうえの、大きな味方だ。
「でもやっぱり毎日さくら水産じゃあ、さすがに飽きてくるんですよね。そんなときは『ほっともっと』で320円ののり弁を買って公園に行きます。でも切ないのが、ベンチのイス取り合戦。同じ包みの弁当を持ったサラリーマンたちで、熾烈な争いをいつも繰り広げているんです」
独身時代、気の向くまま豪華ランチを食べていたのが、まるで夢のような日々だとか。
― サラリーマンのデフレランチを拝見【3】 ―
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