3年半住み続けている客もいる「ネットカフェ難民の最後の砦」
―[真夏の[激ヤバ地帯]潜入6連発]―
昨年、東京都内で施行された「身分証の必須提示」という規制に続き、ネットカフェ業界に「個室規制」というさらなる圧力がかけられている。「風営法許可のないネットカフェの個室は違法で、風営法に従えば24時間営業ができなくなってしまう」というこの規制。今年5月、大阪市では実際に摘発される店舗も出た。
そんななかで、「ネットカフェ難民の最後の砦」とも言われる店がある。埼玉県蕨市のネットカフェ「C」は、1か月以上の長期滞在サービスが人気を博しているのだ。
JR蕨駅前の雑居ビルにある同店を訪れると、受付カウンターには「住民票登録・郵便物受取代行サービス」という貼り紙があった。来店客の大半が長期滞在者で、しかもオープン以来3年半にわたって同店に住み続けている客も少なくないという。一見、普通のネットカフェと変わらないが、漫画の置かれた共有スペースに人影がないのには、違和感もある。
「仕事や職探しで外出する以外、客の多くは店ではマンガも読まずにひたすら寝るだけ」と話すのは、滞在して1年になる住人の方だ。
「そんなわけだから、客同士が親しくなることはあまりない。ただ、店のスタッフとは仲良くなっちゃうことはある。まあ、大家みたいなもんだからさ(笑)」
イビキの音が響き渡る各個室の隙間から覗くのは、体を丸めて眠る男性の姿とハンガーに吊るされた下着やタオル。屋上には洗濯物を干すスペースまである。まさに、そこは「現代のドヤ」とも言うべき生活空間だ。半年間、同店に滞在して求職中だという来店客に個室規制について聞いた。
「個室がなくなるのは本当に困る。ドヤには抵抗あるけど、この店は同程度の料金でジュースは飲み放題だしテレビもある。何よりもドヤに比べて清潔ですから」
同店を運営する明光の佐藤明広会長もこう憤る。
「我々はネットカフェを単なる娯楽ではなく、弱者救済の一翼を担うものだと考えています。実際、被災者の方々も当店に長期滞在して、仕事を探していたりしている。今のところ当局からの指導はありませんが、規制は弱者から居場所を奪うことになりかねません!」
猛暑のなか、難民たちは空調の効いたマイホームを守れるのか。

―[真夏の[激ヤバ地帯]潜入6連発]―
この特集の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】