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ハイレベルで自由すぎるプエルトリコ野球の魅力

プエルトリコ

野球好きが高じて、遠くプエルトリコに来てしまった……

 地球の反対側、カリブ海に浮かぶプエルトリコでは、プロ野球の国内リーグがクライマックスを迎えている。

 カリブの小さな島国の面積は、鹿児島県とほぼ同じで人口は400万人弱。アメリカ自治連邦区だが公用語はスペイン語。通貨は米ドルだが街のいたるところに中世スペインの面影が残る、何とも不思議な島国だ。

 この島の名産品のひとつは“野球選手”。メジャーリーグ好きなら誰もが知る英雄、ロベルト・クレメンテをはじめ、バーニー・ウィリアムス、モリーナ3兄弟、カルロス・ベルトランなど数多くのスター選手を輩出している。

 プエルトリコに限らず中南米各国では、年中温暖な気候を活かした国内リーグが盛んだ。アメリカの冬期にリーグ戦が行われるため、これらはウィンターリーグ(またはウィンターボール)と称される。MLBのシーズンと重ならないため、地元出身の現役メジャーリーガーも参戦する他、近年は日本からもソフトバンクや巨人も、若手選手を積極的に派遣している。

 プエルトリコ野球には、NPBやMLBではお目にかかれないユニークな魅力がある。5ドルでどこでも座れるチケットを買ってボールパークに入ると、まず耳に響くのが独特の「音」。

⇒ 【動画】球場内の様子(http://nikkan-spa.jp/377663)

 サルサ発祥の地・プエルトリコは、街のあちこちでゴキゲンな音楽とダンスが溢れていて、それは野球場とて例外ではない。ゲーム中はブブゼラとラッパの音が鳴り止まず、チャンスになるとオレ・オレ・オレの大合唱。

 数え切れない種類の打楽器がリズムを刻み、皆が腰を振って踊る。野球にサルサにミュージック。これぞカリブな組み合せだ。

 球団の「マスコット」も独特だ。あるチームにはインディアン風のマスコットがいるのだが、なんと50歳くらいのオッサンが素顔丸出し。インディアンの装いで頭に被り物を被っているだけという、何ともB級な“マスコット”。しかしこのオッサン、地元では大人気。自軍のチャンスにはタオルを振り回してファンを鼓舞する。さらにマスコット役を終えたゲーム終盤は、インディアン姿のままスタンドでビールを飲みながら観戦ときた。あまりにも自由すぎだろ!

 何ともラテンなスタンドとは裏腹に、野球のレベルは極めて高い。先日は、メジャー通算165勝のハビアー・バスケスが90マイル中盤(150キロ)を連発するも、敗戦投手になったほど。フィールド上のハイレベルなプレーと、スタンドの陽気なノリのギャップが堪らない。

 カリブ海に面した球場では、潮風が吹くとほのかに甘いココナッツとバニラの香りが漂う。野球ファンなら一度は現地を訪れて、独特の魅力を五感で堪能して欲しい。

 ただし……日本からプエルトリコへは、はっきり言って遠い。直行便はなく、アメリカ本土などの経由が必要だ。日本からの移動は、20時間は見ておいた方が無難そうだ。またプエルトリコ島内の移動は、レンタカーが必須。サンファン市内の移動はバスなどの公共交通機関を利用することができるが、西部に位置する第三の都市マヤゲスなどは、車なしではまず行けない。プエルトリコのウィンターリーグは6球団で争われ、島内の各都市に点在している。先日25日で国内リーグの優勝チームが決定。2月上旬からはプエルトリコ、ドミニカ、ベネズエラ、メキシコ4カ国の優勝チームがカリブ海の王者を決める「カリビアンシリーズ」が始まる。MLBオールスターゲームが「夏の祭典」なら、カリビアンシリーズは「冬の祭典」だ。

<取材・文・撮影/スポーツカルチャー研究所>(プエルトリコ支局)
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海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!では3月に始まるWBCや、MLBの速報記事を中心に担当




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