困窮する被災者を狙い、被災地入りした闇金業者の今
4/2発売の週刊SPA!「震災で一儲けを狙った[火事場泥棒たち]の今」では、闇金以外でも「覚せい剤プッシャー」や悪徳不動産、被災者ゴーストなどさまざまな「火事場泥棒」たちの今を追っている。 <文/週刊SPA!編集部>
震災直後の被災地には、支援の手と同時に「火事場泥棒」を狙う犯罪者たちも数多く入っていった。
震災から2年。こうした犯罪者の悪巧みはまんまと成功し、いまだに暗躍し続けているのだろうか?
闇金業者もまた、関東や関西から、お金に困った被災者にカネを貸し付け一儲けしようと大量に被災地入りした輩の一部だ。
震災から2年。彼らの現状を聞いてみると、多くの闇金業者は、大きな見込み違いをしたようだ。闇金関係者のFが言う。
「あれだけたくさん人が死んで街や家が壊れれば、とりあえずのカネが要る。義捐金や弔慰金が出るまでのタイムラグにつなぎ資金需要が増すと考え、多くの闇金業者が被災地入りした。早い時期から仮設住宅に住む人や遺族リストが高額で出回り、これをベースに営業したんです。ところが、闇金業者が被災者に『いくらでも貸してやる』と営業しても、借りてくれるのは目先の生活費、数万円程度。貸し付けに成功しても、義捐金で返済され、長期で借り入れてくれないケースばかりでした」
一方、沿岸部で自動車や船舶を担保に貸し付けをしていた地元の闇金業者から顧客の債権を格安で買い取った闇金業者も散々な結果に。債務者の多くはほぼ賃貸住まい。そのため一度引っ越されると、地元に情報網のない遠征闇金業者に打つ手はなく、回収コストだけがかさみ、赤字になる一方だったという。
「結局、タネ銭を貸し付けられなかった闇金業者は、出資者たちに『全然増えてねぇじゃねぇか!』と怒られていました。今も細々とパチンコの玉代を貸す小口の闇金業者は生き残っていますが、聞いたら地元のカネ貸しでした」(F)
多くの闇金業者が大敗し、被災地から撤退するなか、現在も被災地に深く根づき、大きな利益を上げている業者もいる。それが「無担保の事業者向け融資」を行った闇金業者だ。
「彼らは被災地の建築・産廃関係の業者などに、事業資金を融資したんです。しかも資金のみならず、自分たちのネットワークを使い、現場で使う重機や機材、現場スタッフまでも提供。イチ早く復旧・復興事業への参入ができるようにサポートしたんです」(同)
場合によっては数千万円規模の融資を無担保で実施。ハイリスクを負うことで、その後の瓦礫処理やリフォームバブル時に利息分も含め、確実に回収できたという。
「利息はざっくり“3倍返し”。住宅リフォーム会社に事業資金の融資をしていた闇金業者の場合、800万円のタネ銭で1億円以上の利益を得たという話も聞いた。今でも、震災直後に世話になった親方(事業者)たちは、事業拡大の相談に銀行より先に闇金業者に相談するって言っています。事業拡大のための融資には、銀行は審査が厳しいですからね」(同)
この闇金業者は現在、得た利益で正規の貸金業の許可を取得予定だという。結局、被災地に根を下ろし“闇金流の被災地支援”を実行した業者だけが生き残った。果たしていい話なのか悪い話なのか。
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