「できる人」はスマホを使わない
最近、仕事でもスマホを使う、という人が増えている。仕事ができる人は、スマホをどのように使いこなしているのか? 「社外先輩」として20~30代の若手から支持される経営コンサルタントの鈴木進介氏は「そもそも質問の前提が間違っていますね(笑)。仕事ができる人は、むしろスマホは使いませんよ」と言う。いったいどういうことか?
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「スマホを使えばいつでもどこでも情報収集ができ、資料も確認できる。顧客へもすぐに連絡がとれますね。でも、それって他人も同じなので、いくら使いこなしたところで差はつきません。また、仕事で成果を出すこととスマホの使いこなし術には何の関係もありません。すでにそういったことに気づいている人は、スマホでできることは他人に任せるか、自分でも最小限に抑え、むしろ非効率なことに意識を集中させています」
――この時代に非効率なことですか? もう少し具体的に教えてください。
「例えば、検索している時間があったら、実際に人に会って話を聞く。メールやチャットするところを手書きの手紙に変える。こうやってスマホではできないことや、他人が面倒くさくてやりたがらないことをやる。当然ですが、人に会えば、誰もがアクセスできる情報ではなく、独自の情報を仕入れることができます。また、お礼メールをするにしても、手書きのほうが印象に残ります。こういう言動こそが、自分だけの新規顧客を開拓したり、他人と差をつけるのです」
――他人と違う言動が大事なのは理解できますが、それでもスマホを使ったほうが仕事の効率はよくないですか?
「確かに、効率がよくなる部分もあるでしょう。ただ、スマホでできることは、所詮、単純作業です。単純作業のスピードを上げたところで、仕事の成果につなげるには限界があります。実はあまり気にする必要はないんです。僕はかつて自社の新サービスで新規顧客を開拓する際に、手紙を便箋に3~4枚書いて企業の社長宛に100社送ったところ、『ぜひ会いたい』という電話が30社からかかってきました。ダイレクトメールは通常1%も反応があればいいほうですが、手紙は30%です。また、はじめて取引した企業から入金があった時に、お礼状を手書きで送りました。すると入金ぐらいでお礼状を書く人なんていませんから、先方が感激して、通常3か月の契約と言われていたのが、3年に延びたこともありました。まさに非効率だからこそ、ライバルを出し抜き、信頼を勝ち得たのです。こういったことは、面倒くさい。でも、やるか、やらないか、それだけなんです」
――それでは、スマホはやめてむしろ、フィーチャーホン(ガラケー)に変えたほうがいいですか?
「携帯電話の形式の話ではなく、『仕事をしているつもりになるな』ということなんです。いくら最新のIT機器を使って仕事のスピードがはやくなっても、みな、同じ事をしています。他人と違うことをするには、むしろ非効率なことを“主戦場”にすべきです。非効率とは人間くさく、本人ならではの価値感が出せます。言い換えれば、その人の独自性が出せる唯一のこだわりなのです。だから、スマホなのかガラケーなのか、メールか手書きかといった話ではなく、あくまでも他人と違った戦い方はどういったものなのか? それを考えなければ10年後は生き残れませんよ、と言いたいのです。特に若手社員には、スマホに依存しすぎず、非効率なことこそ大事にしろ!と口を酸っぱくして言ってます」
人と同じことをやっていても、差はつかない。至極当たり前の話だ。要は「やるか、やらないか」なのだ。そのひと手間によって成果が出せるなら、やって損はないだろう。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
【鈴木進介氏】
コンパス代表取締役。「逆転の思考術」をテーマに経営コンサルタントとして活動。20~30代の若手社員から「社外先輩」として圧倒的な支持を得ている。30代サラリーマンが「無難な人」から抜け出して会社でサバイブするスキルを記した『
『スマホは捨てろ!』 「会社で生き残る」ための戦術を徹底的に考えた |
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