ダメな「新規事業企画」を立てる人の特徴
「自ら物事を考え、自らの意思で行動できる“自立したビジネスパーソン”が急速に求められている」と語るのは、経営コンサルタントの鈴木進介氏だ。「社長がすべてトップダウンで判断するのはリスクが高い。そこで『自立した社員』を増やしたいと考える企業が増えているのです」という。では、具体的に企業内で「自立した人」とはどんな人物像なのか?
「一番わかりやすいのは、社長に新規事業をズバっと提案できる人です。既存事業だけでは成長が見えない時代に、新規事業は必須です。しかし、提案には誰もが躊躇してしまう。そんな状況を乗り越えて、誰に強制されたわけでもなく、自らの意思で社長に提案する。こういった人は日頃から問題意識が高く、自分で物事を考え行動する『自立した人』です」
スマホは捨てろ!』を上梓 http://suzukishinsuke.com
確かに新規事業を提案するような社員は社長や上司にとってもありがたい存在です。
「たいていの社員は目の前の仕事で成果を上げることだけを考えています。それが一番リスクもなく成果をPRしやすいからです。また、ある程度の実績を出してしまうと、そのポジションに安住し、会社依存人間になります。『今』があまりにも心地いいため、新しい挑戦をしなくなり、『昔はすごかったのに』となってしまうのです。スキルはあっても評価されない人の典型ですね」
ちなみに鈴木さんの言う新規事業とは、ただの思いつきを提案してもいいのでしょうか?
「どんな内容を提案するかで、その人が自立しているかどうかもわかります。思いつきレベルでは逆に評価を落とすため、やめたほうがいいでしょう。新規事業は、思いつきを具体化し、企画にまで磨き上げる必要があります。企画内容を見れば、しっかりと自分で考え、行動しているか一目瞭然なのです」
ちなみに、ダメな企画には、どんなものがありますか?
「例えば、今風の○○カフェ、シニア向けの買い物代行、有機野菜の宅配事業、特定テーマに特化した新型SNS、健康データに基づきアドバイスする“かかりつけ医”事業などです。これらは、どこの会社でも検討される無難すぎるアイデアです。新聞やネットにあふれている情報を書きこしたにすぎません。これらのアイデアや着眼点が悪いのではなく、これ以上のひねりも掘り下げもなく、ネットにある市場データをコピペし、理屈をつけてとりあえず理論武装だけして提案するのはやめてほうがいい」
日頃から自分で考え抜くクセを身につけなければならない、と。
「もちろん、自分で考え抜くことは大切ですが、それほど肩の力を入れなくても大丈夫です。まずは自分が直感的に面白いと思ったものを大事にし、追求するところから始めればいい。多くの人は、先行事例を探して似たような企画をつくったり、客観的なデータでとりあえず理論武装をしますが、そんなことで人の心を動かすことはできません。自分が主観的に良いと思ったものに熱狂しているほうが、よほど人の心を動かします。」
自分の直感や主観を入れるべきだ、と。
「自立するというのは、そういうことです。他人に振り回されずに、自分が良いと思うことを追求すること。それがすべての始まりです。自分が喫煙者であれば、健康ブームなんてどうでもいいわけです。むしろ、愛煙家のための“喫煙カフェ”を企画すべきです。みな、世間の空気や他人の視線を意識しすぎなんです。せっかく、新規事業を提案しても、無難な企画では何も考えていないのと同じです。自分らしさをもっと大切にして、堂々と自分なりの企画を考え抜き、提案しましょう。無難な企画やネットで得た情報だけで理論武装しても、独自性はできません。自分らしさを取り戻して、自分の感覚を信じて行動する。そこではじめて『自立した人』になるのです」
あなたはいま新規事業のアイデアをいくつ抱えているだろうか? 今のポジションで実績を出すだけでは、「自立している」とは言えないのだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
【鈴木進介氏】
コンパス代表取締役。「逆転の思考術」をテーマに経営コンサルタントとして活動。20~30代の若手社員から「社外先輩」として圧倒的な支持を得ている。先日、『
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