au版iPhone5で顕著。「パケ詰まり」はなぜ起きる?
MMD 研究所が発表した、通勤・帰宅ラッシュ時におけるスマホの Web 表示時間に関する調査によれば、au 版 iPhone 5 でもっとも「パケット詰まり(パケ詰まり)」が顕著に見られたという。
同調査は、JR 山手線で乗降客数が多い新宿、渋谷、品川、新橋、東京、池袋(6駅・12スポット)にて、通勤ラッシュ時(7時~9時)と帰宅ラッシュ時(17時~19時)に、au、ソフトバンクモバイルの iPhone5と、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルのAndroid端末を使い、Yahoo!Japan のトップページが完全に表示されるまでの表示時間を各10回計測したもの(計1200回/端末)。ちなみに使用したAndroid端末は「Xperia Z SO-02E」(ドコモ)、「HTC J butterfly HTL21」(au)、「AQUOS PHONE Xx 203SH」(ソフトバンク)だった。
発表された内容を要約すると、iPhone5の場合、Yahoo!のトップページ表示時間はau 版が平均11.38秒、ソフトバンク 版が平均4.91秒。「パケ詰まり」の状況はau 版が1200回中245回(20.4%)、ソフトバンク版が28回(2.3%)だった。
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Android 端末の場合、Yahoo!の表示時間はドコモが平均6.19秒、au が平均2.98秒、ソフトバンクが平均3.95秒。「パケ詰まり」の状況はドコモ が1200回中59回(4.9%)、au と ソフトバンクは0回だった。
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ちなみに同調査における「パケ詰まり」の定義は、Yahoo!トップページが表示されるまでの時間が30秒を経過した場合、もしくは計測不能だった場合ということだったが、そもそも「パケ詰まり」とは何なのか?
「『パケ詰まり』とは2012年秋頃から使われてきた単語で、スマホで通信を行おうとしたときに、アンテナが表示されているのに関わらず、データのやりとりができず、フリーズしたようになる現象のことです。数十秒から数分待てば復帰することもありますが、利用者にとってはストレス。しかしながら、確固たる原因が解明されているわけではありません」とは、ITライターの柳谷智宣氏。
柳谷氏によれば、「パケ詰まり」が顕著なのがLTEと3G回線が切り替わるときに通信不能になるケースだという。
「ユーザーが移動するのに従い、基地局を切り替えるハンドオーバーという機能が正確に動作していないということが考えられます。ほかでは単に利用エリアが混雑していたり、端末の不具合だったりする可能性も。混雑していないLTE対応エリアでは『パケ詰まり』はほとんど起きません。結局の所、通信品質の問題と言えるでしょうね」
どうすれば「パケ詰まり」は減らせるのか?
「基本的に、ユーザー側でパケ詰まりの発生を防ぐ方法はありません。起きてしまったら、その都度対応する必要がある。auのパケ詰まりが話題になってからは、機内モードをオンオフしたり、電源を入れ直すと再度つながるようになると言われています。ネットワーク設定をリセットしたり、OSを最新バージョンに更新すると改善されることも。それでもヒドイ場合は、ハードウェアの故障という可能性も考えられます。『パケ詰まり』があまりにヒドイなら、SIMや端末を持参し、販売店に相談すべきです」
各キャリアは「パケ詰まり」対策をしているのか?
「『パケ詰まり』の原因が特定されていない以上、完全に防ぐ手立てをキャリア側は発表していません。とはいえ、これだけ話題になっているので『パケ詰まり』現象を抑えようと動いてはいます。例えば近年、小セル化など通信設備に大規模な投資を行っているソフトバンクでは、同調査からもわかるようにiPhone5、Android端末ともに『パケ詰まり』があまり問題になっていないことを考えると、通信品質=新規設備への投資と言えるでしょう。あとは、LTEと3G回線をシームレスに切り替える高速ハンドオーバー機能の改善が急がれるところです」
ドコモも先日、LTE基地局の小型化を発表。最近、LTEの通信障害が多発しているauも、今期中の300億円の追加投資を発表しているが、auのiPhone5とドコモのAndroid端末で「パケ詰まり」が顕著なのは、スマホ時代に入りデータ通信のトラフィックが爆発的に増加するなかで、その対応が後手にまわっているからだろう。現段階ではiPhone5、Android端末ともに、通信ネットワークの面でソフトバンクが先行していると言える。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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