ソーシャルアプリに感じるデジャヴの正体
今やコンシューマーゲームを抜き去る勢いで成長しているソーシャルアプリ。簡単な操作で空き時間にサクサク遊べるそのゲーム性に多くの人たちが熱中している。しかも、毎月山のよう(一説には1ヶ月で100タイトルが出る月もあるとか…)に新作タイトルがでてくるのでどんなに遊んでも遊び尽くせないだけのソーシャルアプリがある。だけど、新しくはじめたつもりのソーシャルアプリを「あれ?前にもやったことある?」と、思ったことはないだろうか?
実はたくさんのタイトルがあってバラエティ豊かにみえるソーシャルアプリには、その元ネタ(パクリ?)になるモノがあって、基本となるゲームシステムはそのままに世界観だけを変えたアプリがほとんどなのだ。今回はそんなソーシャルアプリの代表作「怪盗ロワイヤル」のルーツをたどりソーシャルアプリのファミリーツリーを作ってみようと思う。
◆「ロワイヤルモノ」が百花繚乱
怪盗ロワイヤルはテレビCMも放送していたので知ってる人も多いと思うが、ざっとゲーム内容を紹介する。プレイヤーは体力、知力、魅力の3つの特徴をもつ主人公の中から一人を選び、テキストで進行するミッションをクリアしながらレベルをあげていくゲームだ。ゲームを進行しているとお宝が手に入るが、このお宝は6個集めるとレアアイテムと交換できる。ここがポイントで、お宝は自分一人でコツコツと集めることもできるのだが、そこは”怪盗”とつくだけあって他のユーザーから盗んだ方がてっとりばやい。もちろん、盗んだ相手は奪い返しにきたり、さらに別のユーザーから盗もうとする。まさにバトル”ロワイヤル” 状態となり熱中する仕組みだ。
ソーシャルアプリ業界ではこれをロワイヤルモデルと呼び、海賊からヤンキー、はては芸能プロダクションをモチーフにしたものまで多種多様なロワイヤルモノが存在している。基本的にどれもがテキストで進行するミッションをクリアし、レベルをあげ、なんらかのお宝を奪い合うのである。「あれ?前にもやったことある?」と思うのもなっとくだ。
◆「怪盗ロワイヤル」のルーツは海外にあった
日本のソーシャルアプリのモデルケースとまでなった「怪盗ロワイヤル」だが、これがオリジナルかと言われれば実は違うのだ。そもそも日本のソーシャルアプリ自体が海外SNSの代表格facebookがはじめたものをマネたもので、怪盗ロワイヤルのルーツはその中で展開されていたzynga社の「mafia wars」と言われている。このmafia warsはドロボウではなくマフィアをモチーフにしたものだ。もちろん遊び方もほとんど同じ。怪盗ロワイヤルがここまで有名になる前は、この手のゲームはマフィアウォーズモデルと言われていた。
では、mafia warsがオリジナルかといえば実はそれも違う。mafia warsが流行るその前にはmob warsというソーシャルアプリがあり、世界観はマフィアよりもややギャングの世界に近い。もちろんこれも同じ遊び方をする。このように、一見ソーシャルアプリはバラエティ豊かな百花繚乱の世界にみえるが実はゲームシステムそのものはたいして変わりがなかったりするのだ。
【30秒でわかる。ソーシャルアプリの表×裏】
・5クリックゲームのすごさ。スライムを倒すのに何クリック?
http://www.spapp.jp/index.php?itemid=436&catid=1&catid=25
・「お菓子あげるからレベルあげといて」ソーシャルアプリの課金入門
http://www.spapp.jp/index.php?itemid=550&catid=1&catid=25
【鵜川 太郎】
株式会社リンクシンクの取締役とか株式会社AQインタラクティブのNC事業部開発部長とかを経て株式会社オルトプラスのCOOやってます。GREE、 mixi、ハンゲームで「ダービーズキングの伝説」を提供中。お暇ならぜひ。そのほか株式会社コムニコの社外取締役としても活動中。あと個人活動としてベタ辞典というどうしようもないくだらない本を書いたりします。
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