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土屋アンナ舞台中止裁判にも影響あり? チケットノルマを巡る賠償訴訟

舞台 11月11日、10時。東京地裁の403号法廷で、ある舞台のチケット販売を巡る裁判の第一回口頭弁論が実施された。その舞台は今年4月12日から21日にかけて東京・銀座の博品館劇場で公演された「ハナノカクコロ~英国大使館の庭~」。元駐日英国大使館の専属庭師として活躍した濱野義弘氏の自伝本『英国大使館の御庭番』(光文社刊)を“原案”にした舞台だ。  その舞台の中身は自伝本を参照してもらうとして、問題は裁判の争点。実は、原告は舞台をプロデュースした株式会社ストロベリーカンパニー(以下S社)で、被告はなんと出演者の1人(S社の舞台告知ページでは、すでにその出演者の名前は削除されている)。その出演者A氏が背負ったチケットノルマに対する代金が支払われないことを受けて起こされた“チケット販売保障代金請求訴訟”なのだ。  驚くべきはA氏が背負ったチケットの枚数。その数、なんと500枚……。同舞台のチケット代は1枚7000円(当日券は7300円だった)なので、金額にして350万円!  裁判資料によれば、S社はA氏に対してチケット1枚につき、2500円(税込)の“販売報酬”を支払う契約を結んでいた。A氏が500枚すべて捌ききれば、125万円の報酬を得ていたはずである。残念ながら「裁判中につき答えられない」とのことだったが、おそらくA氏はチケットを捌くことができなかったのだろう。それで、販売報酬を差し引いた額の半金112万5000円(350万-125万円÷2)を2月に支払ったきり、残りの半額の支払いをボイコットしてしまったのだ。  契約書を結んでいる以上、A氏の契約不履行は明らかなのだが、やはり問題は500枚というノルマの大きさ。その舞台の関係者が話す。 「舞台には芋洗い坂係長などが友情出演しましたが、そうした名の売れた役者さん以外は、だいたいチケットノルマを背負っていました。芸能プロダクションに所属している役者さんは、2人出演してもらう代わりにプロダクションで100枚程度のノルマを担当してもらう、という形が多かったと思います。そのなかで、Aさんが背負ったノルマは断トツに多かった。Aさんは舞台経験などまったくない会社経営者です。その資金力に目をつけられてタカられたのでは? と出演者の間で噂されていました」  駆け出しの舞台役者も次のように話す。 「今は小さな舞台だと、チケットノルマを負うのは当たり前。100枚、200枚のノルマというのもザラです。舞台の出演料なんて、僕ら売れない役者だとたかが知れています。1公演1000円ということだってある。だから、基本はチケットを捌いてマージンを得るという形なんです。ただ、500枚というのはあまり聞いたことがありません。それなりに大きな芸能事務所が5、6人出すから……というのならわかりますが、どこにも所属していない方なんですよね? そんなの捌けるわけがない」  果たして500枚のチケットノルマを1人で背負うのは妥当か否か? 気になるところだが、実はこの裁判には続きがある。前出の舞台関係者が話す。 「土屋アンナさんが出演するはずだった舞台『誓い 奇跡のシンガー』と、石橋貴明さんの娘・穂のかさんが出演する予定だった舞台『タクシードリーマーズ』と構図が非常に似ているんです。原作(正確には原案)はどちらも、光文社のMさんが編集を担当した本で、『ハナノサクコロ』に主演された瀬下尚人さんは、『奇跡のシンガー』でもアンナさんと並んで主演級の扱いでした。『タクシードリーマーズ』と『ハナノサクコロ』は脚本を担当された人も一緒。どの舞台もチケットノルマ制があったし、稽古からして美術関係のスタッフがいなかったり、小道具が全然揃わなかったりとトラブルが絶えなかったと聞いています。おかげで、『ハナノサクコロ』に出演された役者さんのなかには『奇跡のシンガーにも出ないか?』と誘われた人が何人もいたんですけど、みんな断ったようです」  ご存じのとおり、土屋アンナさんは『誓い 奇跡のシンガー』の練習に参加せず、舞台中止に追いやったとして、プロデューサーの甲斐智陽氏から損害賠償請求を起こされ、現在、裁判の真っただ中。『タクシードリーマーズ』も8月に穂のかさんが8月に体調不良を理由に降板を発表し、舞台は中止に……。相次ぐ舞台のトラブルの実情が、チケット販売保障代金請求訴訟でも明らかになるかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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